CLA-2A vs. CLA-3A
LA-2AとLA-3Aは、史上最も有名な2つのコンプレッサーですが、その違いは何でしょうか?
2026.08.25
LA-2A(CLA-2A)は、数あるコンプレッサーの中でも特に有名で、世界中のエンジニアが愛用する名機です。そのあとに登場したLA-3A(CLA-3A)は、LA-2Aと同じような音を期待した人たちを少し驚かせたためか、当時はそこまでの評価を得られませんでした。しかし、じっくり使い込んだエンジニアたちは、LA-3Aならではの良さに気づきました。「音が違う」というのは、どちらが良い悪いではなく、「目的によって使い分けるべきだ」ということだったのです。

CLA-2A
伝説的なエレクトロ・オプティカル(電気光学式)チューブコンプレッサーをモデリングしたCLA-2Aは、世界中のエンジニアのお気に入りとなった、オリジナルのスムースで周波数追従型の動作を再現しています。60年代中

CLA-3A
ユニークで非常に透明感のあるコンプレッションカーブを持つことで知られる70年代初期のソリッドステートユニットをベースに開発されたCLA-3Aは、実機同様に素早いレスポンスと繊細な倍音歪みを提供します。オリジナ
LA-2AとLA-3Aの共通点
実は、これら2つのコンプレッサーには、違うところよりも似ているところの方が多いのです。使い方(ユーザーインターフェース)も非常にシンプルです。「Peak Reduction」というつまみでコンプレッションのかかり具合(圧縮量)を調整し、「Gain」で音量を調整するだけです。また、「Compress(軽く圧縮するモード)」と「Limit(強く圧縮するモード)」を切り替えることもできます。コンプレッサーとしてのイメージが強いですが、リミッターとしての使い方も優秀です。
もうひとつのコントロールを使えば、すべての音域に均等にコンプレッションをかけるか、高い音域にだけ強くかけるかを調整できます。これを利用して、耳障りな高音を抑える「ディエッサー」のように使ったり、音の明るさを抑えて、楽器をオケの後ろの方へ馴染ませたりすることも可能です。
これら名機コンプレッサー、CLA-2AとCLA-3Aの使い方は、究極にシンプルです。
さらに、両方のプラグインには「Analog」というスイッチがあります。これをオンにすると、昔のハードウェア機材特有のノイズ(50Hzや60Hzのハムノイズなど)を再現できます。クリアな音が好きな人はオフでも良いですが、昔の機材ならではの「味」や「ヴィンテージ感」を大切にしたい人には嬉しい機能です。
「オプト(光学式)」と呼ばれる仕組み
コンプレッサーの個性を決める大きな要因は、どうやって音を圧縮しているかという「仕組み(回路)」にあります。LA-2AとLA-3Aはどちらも、「T4オプトアイソレータ」という光を使った部品で音をコントロールしています。入ってきた音の大きさに合わせて光が強くなったり弱くなったりし、その光の量で音量を調整する仕組みです。
この光を使った仕組みは、音楽にとって「嬉しい偶然」を生み出しました。自分で細かく設定しなくても、音に合わせて自動的に良い感じでアタック(圧縮の始まり)とリリース(圧縮の終わり)を調整してくれるのです。アタックが早すぎないので楽器の「アタック感(パンチ)」が失われず、リリースも自然に音が減衰していくような独特の動きをします。しかも、プラグインなら実機のように部品が劣化する心配もありません。
ただし、LA-2AとLA-3Aでは、この光るパネルの動かし方が違うため、音の反応速度が変わってきます。突発的な大きな音(トランジェント)が入ってきたとき、LA-3Aの方がLA-2Aよりも素早く光るため、素早く音を圧縮できるのです。
CLA-2AとCLA-3Aのプラグインでも、この違いはしっかり再現されています。ドラムに両方を強めにかけて聞き比べてみると分かりやすいでしょう。CLA-3Aを使うと、ドラムの音がよりタイトで、アタック感が強く(パンチが効いて)シャープになります。一方CLA-2Aは、アタック感が少し丸くなりパンチは控えめになりますが、その分温かみがあり、太いサウンドになります。
この特徴があるからこそ、ボーカルを滑らかに整えたいときにはCLA-2Aがよく選ばれます。子音などのアタック部分は自然に残しつつ、音量のばらつきを滑らかに整えてくれるからです。逆に、もっと強くコンプレッションをかけたいボーカルには、CLA-3Aを選ぶ人もいます。CLA-2Aで強くかけすぎると、少し「加工された感じ」が強くなってしまうためです。
音の戻り方(リリース)は、入力された音に合わせて自動で良い感じに調整されるように感じますが、少し注意点もあります。大きな音が長く続くと、コンプレッサーが完全に元の状態に戻る前に次の音が来てしまい、アタックが予想より短く感じることがあります。逆に、リリースの動作が完全に終わった状態から次の音が来ると、しっかりアタック感が残ります。
真空管が生み出す音の違い
LA-2Aは「真空管」、LA-3Aは「ソリッドステート(トランジスタなど)」という部品で作られており、これによる音の違いもあります。真空管を通すと、ソリッドステートよりも音に独特の色付け(キャラクター)が加わります。これは、高音域が少し抑えられる効果などによるものです。
そのため、CLA-3Aの方がCLA-2Aよりも色付けの少ない、すっきりとした音になります。もちろん、どちらが良いかは状況次第です。また、CLA-2Aはゲイン(出力レベル)を上げるほど、真空管を通したような温かみのあるサウンドが強調されることも覚えておくと便利です。
エンジニアのジョー・チカレリ(Joe Chiccarelli)は、ホワイト・ストライプス(The White Stripes)のミックスで、ジャック・ホワイトのボーカルにLA-2A(CLA-2A)を使用しました。真空管ならではの歪み感を活用するためです。
どうやって使い分ける?
鋭いアタック音が少なく、コンプレッサーに速い反応を求めない楽器には、CLA-2Aの温かみと滑らかな効果が合うでしょう。一方CLA-3Aは、CLA-2Aほどの温かみはありませんが、ギターやエレクトリックピアノなどの「中音域」を、よりタイトでパンチのある音にしてくれます。
しかし、「この楽器には絶対これ!」という正解はありません。エレキベースが良い例です。CLA-2Aを愛用する人もいれば、CLA-3Aを推す人もいて、どちらも正解なのです。ベースを滑らかで温かい音にしたいならCLA-2A、アタック感(パンチ)を出してタイトにまとめたいならCLA-3Aが向いています。エレキギターや男性ボーカルにCLA-3Aを好む人がいるのも、「滑らかすぎる音にはしたくない」という意図があるからです。(エレキギターの弦で例えるなら、CLA-2Aは温かみのあるニッケル弦、CLA-3Aはギラッとしたステンレススチール弦のようなイメージです。)
ドラムの全体を録る「オーバーヘッドマイク」の処理でも意見が分かれます。シンバルなどの音を他のドラムトラックと自然に馴染ませたい場合はCLA-2A、ドラム全体の迫力やアタック感を強調したい場合はCLA-3Aが選ばれることが多いです。
アコースティックギターはどうでしょうか。ピッキングのニュアンスや弦のアタック音を前に出したいですか? それならCLA-3Aが中音域をくっきりさせてくれます。逆に、ストロークの音を曲の背景に静かに馴染ませたいなら、CLA-2Aが良い選択になるでしょう。
さらに面白いことに、CLA-2AとCLA-3Aはお互いの良さを補い合う関係にもあります。2つのコンプレッサーを順番に(直列で)繋ぐテクニックは多くのエンジニアが使っています。ボーカルの場合、まずCLA-2Aで軽く温かみと滑らかさを出し、その後にCLA-3Aでパンチを加えてオケに埋もれないようにする、といった使い方ができます。逆に、先にCLA-3Aで音のばらつきを抑え込み、後からCLA-2Aで温かみを足すという人もいます。
色々と解説しましたが、この2つのコンプレッサーの違いは決して分かりにくいものではありません。色々な楽器で実際に試して、オン/オフを何度か聞き比べてみれば、どちらが今の曲に合っているか、ご自身の耳ですぐに判断できるようになるはずです。
CLA-2A vs CLA-3A 比較まとめ
それぞれの主な特徴と違いを表にまとめました。目的のサウンドに合わせて、最適なプラグインを選んでみてください。
| 項目 | CLA-2A (LA-2A) | CLA-3A (LA-3A) |
|---|---|---|
| 内部の仕組み | 真空管(チューブ) | ソリッドステート(トランジスタなど) |
| サウンドの印象 | 温かみがある(ウォーム)、自然な色付け、滑らか | すっきりしている(クリーン)、タイト、パンチがある |
| 音への反応速度 | 少しゆったりしていてマイルド | 大きな音に対して素早く反応する |
| 得意な用途・楽器 |
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