検索
SSL E-ChannelかG-Channelか、それが問題だ

SSL E-ChannelかG-Channelか、それが問題だ

SSLのEチャンネルとGチャンネルは何がどう違うのでしょうか?なぜ、そしてどのように使い分けられているのか?何世代にもわたる音楽を形作ってきた、これら2つの伝説的なチャンネルストリップ・プロセッサーを詳しく比較してみましょう。

2026.02.25

SSL E-SeriesとG-Series誕生以前

1975年、ソリッド・ステート・ロジック(SSL)というイギリスの小さな会社が、同社初のアナログ・ミキシング・コンソール「SL4000 Aシリーズ」をリリースしました。しかし、当初は注文数がわずか2台、続くBシリーズも6台と、世間の反応は非常に静かなものでした。

大きな転換点となったのは、1979年のEシリーズの登場です。このデスクは、後の1987年に発売され絶大な人気を博したGシリーズと共に、レコーディング業界を一変させ、数十年にわたって市場を支配することになります。


革命的だったEシリーズとGシリーズ

Eシリーズは、全チャンネルへのコンプレッサー/ゲート搭載や、マスターバス・コンプレッサー、そしてデスクの状態を完全に再現できる「Total Recall(トータル・リコール)」システムなど、当時のエンジニアにとって革命的な機能を備えていました。

しかし最も重要なのは、そのサウンドキャラクターです。4バンドのフルパラメトリックEQが生み出す明るさと透明感、そしてダイナミクス・セクション特有のパンチのある音は「80年代のサウンドそのもの」を定義しました。スタジアム級のポップスやロックにおいて、ラジオやテレビを通しても際立つその音は、ミキシングにおけるダイナミクス処理のアグレッションを一段上のレベルへと引き上げたのです。


EシリーズとGシリーズの違い

両シリーズのコンプレッション機能はほぼ同一ですが、EQ(イコライザー)の仕様は大きく異なります。

Gシリーズ:スムーズな変化

より急峻なフィルタースロープと「プロポーショナルQ」設計を採用。ブースト/カット量に応じてQ幅が狭くなるため、全体のエネルギー変化を一定に保ち、滑らかな音色変化をもたらします。

Eシリーズ:エッジの効いた存在感

設定に関わらず帯域幅(Q)が一定に保たれます。そのため、Gシリーズに比べて存在感のある、エッジの効いたサウンドが得られるのが特徴です。

内部回路の変遷
  • 初期Eシリーズ(Brown Knob): 周波数設定に関わらず、±3dBポイントが音楽的なインターバルを保つ「対数対称」設計。
  • 1983年以降(Black Knob): ジョージ・マーティンと共に開発された「242 EQ」。カット/ブースト範囲が±18dBへ拡大され、18dB/octの急峻なハイパス・フィルターを搭載。
  • Gシリーズ(G-EQ): 新しい292/383回路を搭載。独特なカーブと広めのQ設定により、極端なイコライジングにも対応。

Waves SSL E-Channel & G-Channel プラグイン

Waves SSL 4000 Collectionは、SSL社からの正式ライセンスを受け、実機を忠実にモデリングしています。E-Channelは「Black Knob」、G-Channelは「383 G-EQ」回路をベースにしています。

ダイナミクスとシグナル・ルーティング

両プラグインのダイナミクス・セクションは共通で、ソフトニーのコンプレッサー/リミッターとエクスパンダー/ゲートで構成されています。これらはEQの前(Pre)または後(Post)に自由に配置を入れ替えることが可能です。

コンプレッサーは実機同様、レシオとスレッショルド設定に基づいてオート・メイクアップ・ゲインを計算し、出力レベルを一定に保ちます。また、デフォルトのアタック・タイムは入力信号に応じて変化するプログラム・センシティブ仕様です。

サイドチェイン機能の違い
E-Channel「Dyn S-C」

フィルターとEQの両方をダイナミクスのサイドチェインに送ります。これにより、精密なディエッシング(歯擦音の除去)などが可能です。

G-Channel「FLT Dyn S-C」

フィルターのみをサイドチェインに送ります。低域をカットしてコンプレッサーの過剰な反応を抑えるといった処理に適しています。

プラグインにおける独自機能
  • リアルなバイパス: セクションをバイパスしても信号は完全な「デジタル・フラット」にはならず、実機のチャンネル・ストリップを通した際のレスポンスを再現します。
  • Analogスイッチ: オンにすることで、実機特有のノイズや歪みをエミュレート。デジタルの正確さが必要な場合は、実機では不可能だった「オフ」を選択できます。
  • フル・コントロール: LEDスタイルのゲイン・リダクション・メーター、トリム・ノブ、位相反転(フェイズ)ボタン、出力フェーダーを完備。

結局、どちらが良いのか?

結論は、やはり「用途によります」。現代では、Wavesプラグインによってこれらを自由に、あるいは贅沢に組み合わせて使い分けることが可能です。

「E-Channelはミックスの常連。音楽的なサチュレーションをくれる。一方でG-Channelは『Grit(気骨), Grind(質感), Gain(ゲイン)』だ。SSLのアグレッションを加速させるターボだね。」

— クリス・ロード=アルジ

「E-Channelには少し丸みがありポップスやR&B向き。対してGは中域に張りがあり、ロックのエネルギーに最適だ。」

— トニー・マセラティ

「ハイハットやオーバーヘッドにはパリッとしたG-Channelを、キックやスネアにはE-Channelを使うのが好きだね。」

— マーク・“スパイク”・ステント

まずは実際に試してみることが一番の近道です。どちらを選んでも、数々の名盤を支えたあのSSLサウンドがあなたのミックスを強力にバックアップしてくれるはずです。

関連製品

人気製品

Ultimate
Abbey Road Studio 3
Abbey Road Studio 3

数え切れないほどの傑作と伝説を生み出してきた英国アビーロード・スタジオの『Studio 3』 コントロール・ルーム。Waves Abbey Road Studio 3は、Studio 3の音響環境そのものをヘッドフォンに再現するプラグインです

Ultimate
BSS DPR-402
BSS DPR-402

12のモードを組み合わせて多彩なダイナミクス処理が可能 BSS® DPR-402ダイナミクス・プロセッサーは、そのパンチ感と多様な用途に対応する万能さから、長きにわたりスタジオ、ライブ、ブロードキャストの現場でエン

Ultimate
CLA Epic
CLA Epic

ミックス界のレジェンドであるクリス・ロード・アルジが所有する最高のスタジオ機材をベースにした、それぞれ4つのお勧めディレイとリバーブを1つのプラグインにまとめました。 ブレンド、レイヤー、内部的にエフェ

Ultimate
Essential
Electric 200 Piano
Electric 200 Piano

スティービー・ワンダー、マービン・ゲイ、クイーン、レイ・チャールズ、ピンク・フロイド、スティーリー・ダン、稀代のアーティストたちが愛された、モデル200のエレクトリック・ピアノ。その刺激的で唸るようなリ

Ultimate
Essential
Electric Grand 80 Piano
Electric Grand 80 Piano

エルトン・ジョン、ピーター・ゲイブリエルからハービー・ハンコックといった80"sポップス、ロック、R&Bのヒット曲で、そしてヴァンゲリスから現代までつながるエレクトロニック・ミュージックの分野でも、時代を形

Ultimate
OVox Vocal ReSynthesis
OVox Vocal ReSynthesis

フランク・オーシャン、ジェイムス・ブレイク、ボン・イヴェールを筆頭に、現在の音楽シーンに欠かせない多彩なボーカルトラック加工をWaves保証の音質で可能にしてしまうプラグイン。今までなら複数のプラグインや

Ultimate
Q-Clone
Q-Clone

ヴィンテージ・コンソールのEQモジュールやラックマウントのハイエンドEQを持っている。そんなハードウェアEQを手放すことはできないけれど、トラックと同じ数のEQをそろえるのは不可能。設定のトータルリコールや、

Ultimate
Essential
Renaissance Reverb
Renaissance Reverb

豊富なリバーブテイル、先進の早期リフレクションシステムそしてデュアルバンドEQとダンピングコントロール。Renaissance Reverbは、並外れた質感と濃度を持った卓越したサウンドとパフォーマンスをお届けします。

Products
Promotion
Solution
Contents
Support
Company
Instagram YouTube