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Neveサウンドの2つのバリエーションを比較:V-EQ3 vs. V-EQ4

Neveサウンドの2つのバリエーションを比較:V-EQ3 vs. V-EQ4

Neveコンソールを代表するこの2つの名機EQは、何世代にもわたってポピュラー音楽のサウンドを形づくってきました。では、両者の違いはどこにあるのでしょうか?機材オタク気分で2つのプラグインの比較をじっくり読んで、伝説的な「ビッグ」サウンドを使いこなしましょう。

2026.09.29

WavesのV-EQ3とV-EQ4は、NeveのプリアンプのEQをモデルにしたプラグインです。V-EQ3は1066/1073、V-EQ4は1081がモデルになっています。問題箇所の修正を主な目的とする現代の精密な(サージカルな)EQとは対照的に、70年代のサウンドと技術を再現した「キャラクター系」EQです。

「ヴィンテージ」アナログEQの魅力

どのバージョン、製造年、トランス、コンデンサーが「最高」なのかは、終わりのない議論の的です。ただ、アナログ回路の面白さのひとつは、個体ごとに音が違うことにあります。部品の許容誤差、製造ロットごとのばらつき、部品やサプライヤーの変更などが主な理由です。

それでも、ヴィンテージ機材には共通する特徴があります。

こうした違いがあるため、現代のデジタルEQで同じ設定にしても、ヴィンテージ機材と同じ音にはなりません。

もし現代のEQが先に発明され、「ヴィンテージ」のほうが後から登場していたら、人々がどちらを好んだかは誰にも分かりません。オーディオの多くの要素と同じように、ここにあるのは「良い・悪い」ではなく「違い」です。その違いを理解しておくと、目指すサウンドに合ったEQを選びやすくなります。

プラグインのサウンド

現代のニュートラルなEQで同じ周波数を同じ量だけ調整した場合と比べると、V-EQ3とV-EQ4には次のような傾向があります。

どちらのプラグインにも「Analog」ボタンがあり、EQをすべてゼロにした状態でも、はっきりとアナログらしい質感が加わります。私はブラインドテストで、Analogがオンのときを100%聞き分けられました。機材自慢をするタイプではない私でもそうなので、違いは確実にあると言えます。

サウンドを左右するもうひとつの要素が、EQの周波数とEQステージの選び方です。ここが、V-EQ3とV-EQ4の最も大きな違いになります。V-EQ3は、コントロール数を絞った汎用的なトーンシェイピング用EQです。ボーカルやギターの魅力を引き出す場面や、マスタリングで重宝されています。

図1:V-EQ3は1066/1073 NeveプリアンプのEQをモデル化しています。

図1:V-EQ3は1066/1073 NeveプリアンプのEQをモデル化しています。

回路構成にも違いがあります。V-EQ3はClass Aプリアンプをモデルにしており、歪みを極限まで抑えた設計です。一方のV-EQ4は、ディテールや細かなコントロールを重視したClass ABプリアンプがモデルです。Class ABはClass Bより歪みがはるかに少なく、Class Aより効率に優れています。この違いが、それぞれ少しずつ異なるサウンドにつながっています。

V-EQ3の特徴

V-EQ4の特徴

V-EQ4も基本的な設計は似ていますが、コントロールの構成が異なります。

図2:V-EQ4はV-EQ3よりも豊富なコントロールセットを備えています。

図2:V-EQ4はV-EQ3よりも豊富なコントロールセットを備えています。

V-EQ3とV-EQ4の仕様比較

比較項目 V-EQ3 V-EQ4
モデル 1066 / 1073 1081
プリアンプ回路 Class A(歪みを極限まで抑えた設計) Class AB(低歪みかつ高効率)
ハイパスフィルター 7段階 5段階
ローパスフィルター なし 5段階
ローシェルビング 5つのコーナー周波数 5つのコーナー周波数
(ベル型へ切替可能)
ミッドレンジ(ベル型) 1バンド・10段階 2バンド(各10段階)
※Hi-Qスイッチ搭載
ハイシェルビング 2ポイント(10kHz / 12kHz) 5つのコーナー周波数
(ベル型へ切替可能)
操作感・特徴 汎用的で素早いトーンシェイピング向き(太い筆) マルチバンド設計で精密な作り込み向き(細い筆)

どちらをいつ使うべきか

どちらのEQも、中域を強調し、高域に少しの輝き(スパークル)を加え、さまざまな音源に「ボディ感(厚み)」を与えるのが得意です。オリジナルのハードウェアが今もプロのエンジニアに愛用されている理由の一部でもあります。

V-EQ3:速く、思い切りよく

V-EQ3はコントロールも周波数の選択肢も限られているぶん、素早く調整できます。自由度と、お気に入りのプリセットのような「狙いどおりの周波数」がほどよく両立しているのです。特に70年代らしいサウンドを求めるときは、まさに欲しかった周波数が用意されていることが多いでしょう。また、ベルカーブの形状のおかげで、ミッドレンジのベル型EQは現代のEQよりもゲインを大きく上げても破綻しにくい傾向があります。

V-EQ4:細やかに、精密に

V-EQ4のマルチバンド設計は、ヴィンテージの1081らしいサウンドを保ちながら、V-EQ3より高い精度で調整できます。ただし、レスポンスはややフラットで、高域の輝きもわずかに多めです。カットオフ周波数の選択肢が広く、High-Qのベル型も使えるので、個々の楽器のサウンドを細かく作り込むのに向いています。V-EQ3が太い筆でざっくり描くイメージなら、V-EQ4は細い筆で描き込むイメージです。

ローとハイのシェルビングEQに加え、ハイパスとローパスの両方のフィルターも備えているため、便利な組み合わせが可能です。たとえば、シェルビングEQで高域や低域をブーストしたうえで、ハイパスやローパスで両端の不要な帯域を抑えるといった使い方ができます。

選び方の目安

細かい調整に時間をかけず、すばやく結果を出したいなら、まずV-EQ3を試してみてください。そのコントロールで思いどおりの音にならなければ、V-EQ4に切り替えましょう。逆に、最初からV-EQ4の柔軟性がミックスに役立つと分かっているなら、豊富なトーンの選択肢を使いながら、ヴィンテージらしいサウンドを得られます。

コンピューター内でアナログ的なミックスを行う

実用面では、V-EQ3やV-EQ4を、WavesのNLS Non-Linear Summerプラグインの「ジュニア版」として使うこともできます。バーチャルコンソールの各チャンネルストリップの最後にV-EQをインサートし、EQはいじらずにAnalogボタンだけをオンにしてみてください。

私はCakewalk by BandLabで試しました。このDAWではAnalogボタンを簡単に「クイックグループ化」できるので、全トラックを一括でオン/オフして比較できます。目を閉じていても、オンになっているかどうかは簡単に聞き分けられました。ミックス内のすべての楽器に少しずつ輝きが加わり、それぞれが際立って聞こえます。効果は繊細ですが、確かな違いがあり、私の耳には好ましく響きました。

EQとして使う場合、ブーストを加えれば、楽器をミックスの中で持ち上げるだけでなく、音色も変えられます。しかもV-EQは「アナログ」な特性のおかげで、従来の精密なEQ(特にリニアフェイズタイプ)ほど大きくブーストしなくても、十分に際立たせることができると感じます。

向いている音源、向いていない音源

あまり向かないのは、耳障りになりがちな音源です。たとえば、一部のサンプリングされたストリングス音源や、エイリアシングノイズを含む音源(一部のアンプシミュレーターやバーチャルアナログシンセなど)が該当します。V-EQはこうした耳障りな成分をさらに強調してしまうためです。

逆に、ボーカルなどのアコースティック楽器には非常に相性が良いです。EQだけを使うより、ボーカルがほんの少し前に出て、特別な輝きも加わります。アコースティックギター、ピアノ(曲の中で目立つパートがある場合)、パーカッションも同様です。全体としては、EQに、ごく軽いエキサイターをかけたような効果だと言えます。

EQが必要で、かつ、よりくっきりした音にすると良くなる楽器に、ぜひインサートしてみてください。繊細な「スパークル」による強調に加えて、ローミッドや低域にも温かみが加わります。

Wavesプラグインが使い放題!「Creative Access」とは?

Waves Creative Accessでは、1ヶ月から12ヶ月まで、必要な使用期間プランを選択してWavesプラグインを導入することが可能。
期間内にリリースされる新プラグイン、最新アップデートは追加費用なしでご利用いただくことが可能です。

プラグイン・プランは、220種以上のWaves全プラグインを使用できるUltimate、110種類以上のプラグインを使用できるEssentialの2プランから選択可能です。

※記事内で紹介したプラグインの収録プラン(Ultimate / Essential)は、各製品ページにてご確認ください。

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