![DiGiGrid 導入レポート -『SYNC LIVE STUDIO M』](/image/articles/digigrid-sync-live-studio-m/desktop-billboard.jpg?1721985923)
DiGiGrid 導入レポート -『SYNC LIVE STUDIO M』
様々なアーティストのアレンジャーやサウンドプロデューサーを経て、いまやAKB48グループや乃木坂46、EXOやSHINee、AAA、初音ミクなどのライブマニピュレーター、音楽監督として最先端のエンタテインメントをクリエイトする鈴木 啓 氏。彼が代表を務める株式会社シンクライヴ・ジャパンの本拠地となるスタジオ『SYNC LIVE STUDIO M』のラウンジ部分が完成、DiGiGridのI/Oが多数導入されたとのことで、レポートを敢行しました。
2020.01.01
エントランスから特別な空間へ
ガラスに囲まれた自動ドアが開くと、そこには一面ビロードのゴージャスなロビーが広がります。空間には甘美なアロマが満ちており、足を踏み入れた途端に非日常に誘われます。
壁面のマジックミラーの奥に隠された85インチの大型モニター画面には、Apple TVが繋がっており、MacBookやiPhoneなどの画面を簡単に映すことができ、驚くべきことに格子天井の張布の奥にGENELEC 8340Aと7370Aの5.1chサラウンドシステムがセットされています。
ラウンジの各所に配置されたDiGiGrid
私たちが訪問しここは鈴木 啓 氏のスタジオ『SYNC LIVE STUDIO M』のラウンジで、一般には貸し出しはしておらず、鈴木氏が案件を通じて繋がった方の仕事を引き受けるスタイルで運営されている隠れ家のようなスタジオです。スタジオの内装は鈴木氏自らがデザインを手掛け、雰囲気と色、家具や生地に至るまで、来客者が「また来たい」と思えるような高揚感を作るために様々なマテリアルからベストなものが選ばれており、鈴木氏のデザインセンスで上品なラグジュアリー感が保たれています。
なにやら宝探しのような楽しさを覚える空間ですが、早速DiGiGridのインターフェイスがどのように活用されているのか、探索してみましょう。まず目にとまったのが、上質なソファの前に置かれたこのオーダー・メイドのロー・テーブルです。
なんと、ネットワーク・オーディオI/O、DiGiGrid [M]が見事に2つ埋め込まれています。SYNC LIVE STUDIOにはこれらとコントロール・ルームも含めて合計8台のDiGiGridのI/O製品が設置され、その全てがネットワークで一つに繋がっています。
![特注のテーブルに埋め込まれたDiGiGrid M](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/corporate-web-static/wp-content/uploads/2020/03/03042015/SL_Desk_w390-150x150.png)
続いて、ソファーの後ろ側にあるDJブースでは、MacBook Proに立ち上がったDJソフトをRELOOP MIXON 4でコントロール。4入力/6出力のDiGiGrid [D]に、この周辺のオーディオ入出力が集約されています。
![DJブースのDiGiGrid D](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/corporate-web-static/wp-content/uploads/2020/03/03042018/SL_DJ_w550-150x150.png)
DiGiGridがネットワークで繋がるオーディオ・インターフェイスであることをご存知の方なら、もうおわかりだと思いますが、このラウンジ、単なるスタジオの打ち合わせ/休憩スペースではなく、トラック・ベースのセッションができるスタジオ。セッションを楽しんでいる人が遊びに没頭できるように設計されています。
セッションで生まれたトラックにDJで参加する人、ギターを弾き出す人(DiGiGrid経由のMacがアンプシミュレーターになる)が参加していく。それがフロアのBGMとなり、バーカウンターでお酒に酔いしれる人を楽しませる。もちろんこのセッションはDiGiGrid経由でスタジオ中に繋がっていて、MacBook Proやコントロールルームですぐ録音ができる。そんな場面を想定してレイアウトされているそうです。
鈴木氏曰く『DiGiGridがなければ床の上をケーブルが履い、壁のパッチベイで内装デザインも壊れていたでしょう。アナログ音声を長距離引き回すことで音質も落ちていたはずです。DiGiGridが無ければここはただのラウンジで終わっていたでしょうね。』とのこと、ネットワークだから実現できた空間であると言えます。
隠されたボーカル・ルーム
続いてはこのスタジオのボーカル・ブースを紹介します。上の画像に実はブースの入り口が映っているのですが、ここにもまた驚きの仕掛けがありました。なんと、本棚のある部分を押すとボーカルブースへの入り口が開きます。
ここでもDiGiGrid [D]がインターフェイスとして使われ、全ての部屋とネットワークで繋がっているので、BRAUNAR VM1に入った歌声は2FのコントロールルームやロビーのMacBook Proでも録音できるようになっています。トークバックはもちろんロビーで始まったセッションの音も自在にモニタリングでき、ボーカリスト自らがDiGiGrid [D]の大型のノブを使ってボリュームをコントロールできます。
![DJブースのDiGiGrid D](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/corporate-web-static/wp-content/uploads/2020/03/03042014/SL_Booth_w390-150x150.png)
コントロールルーム / 2F
螺旋階段で2Fにあるコントロールルームへ移動すると、2017年3月4日、5日 NHKホールで行われた『初音ミク×鼓童 スペシャルライブ ~ジャパンコンテンツのミライ~』のTV放送のTD作業が行われていました。ここはまだ未完成なので写真でご紹介することはできませんが、メインのDAW Pro Tools HDXシステムには、DiGiGrid DLSが組み込まれ、ここまでご紹介したすべてのDiGiGrid I/OがPro Tools HDXシステムの入出力として使えるようになっています。
この部屋も階下のロビー以上の『驚くべきコンセプト』で最先端技術が投入されるということなので、完成が楽しみです。
鈴木氏からのメッセージ
『ここを一度使った人が次に訪れる時「あのスタジオでまたレコーディングできるんだ!」という喜びを感じてほしい。アーティストにはこのスタジオで遊びながら最新技術に触れることで、時代に即した音楽の面白さを見つけてほしいんです。僕は出来うる限り新しいSHOWやSTUDIOを作り、それを次の世代に渡していきたいんです。そして彼らにさらにその先の未来を創っていってほしいんです。』
『僕たち(大人世代)の考え方を次の世代に当てはめてはいけません。感受性豊かな新世代の人は簡単にブレイクスルーしてくる。初音ミクなどの音楽監督をさせて頂いていく中で、僕は自分より若い世代のクリエイターや観客を見てとても影響を受けました。僕たちも彼らが持つエッジ感のある感性に敏感に反応していく必要があるんです。そうしないと”時代から求められること”に応えきれないのではないでしょうか。』
まさに驚きの連続が詰まった導入レポートでした。DiGiGrid製品の導入は、ホームレコーディング、ライブ・サウンド、放送局とその活躍フィールドは多岐に渡りますが『SYNC LIVE STUDIO M』では、スタジオの目指すコンセプトとネットワークの利便性が見事にマッチしていました。またその美しさ、都内でありながら別世界に感じられるラウンジこの場所の雰囲気は、言葉で表現するのが難しいほど、印象深いものでした。
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