
MIXを始めよう!5つのステップでアプローチ
ミックスと一言で言っても、どこから手をつけたらいいのでしょうか。ローエンド、ボーカル、それともやみくもにフェーダーを触ることでしょうか?ご安心ください。
ここでは曲を仕上げるための5つのステップをご紹介します。
2020.01.01
ミックスの最初の一手は、作業を進めていく上でとても重要な部分です。特にトラック数の多い曲や、慣れないセッションの場合には最初の一手がミキシングの良し悪しに影響してくることでしょう。どのような状況に陥ったときにも、無理をせず、前に進むべき道筋を明確にしておくことが大切です。
ミックスを始める際のワークフローは人それぞれです。しかし、まず基本となる5つのステップを知れば、より広い視点でミックスができるようになるでしょう。
1. ラフミックスを聞くところから始める
もしあなたがクライアントの曲のミックスエンジニアなら、クライアントがアーティストであろうとプロデューサーであろうと、クライアントがレコーディングの過程で作ってきたラフミックスがあります。あなたに依頼が来るまではそのラフミックスを聴いてプロジェクトを進めているはずです。
ラフミックスを聴くということは、これまでにプロジェクトに取り組んでいた人たちの曲のイメージを掴むことができ、さらに、あなた自身のミキシングのイメージを構築するために最適な方法です。
フェーダーに触れたり、プラグインを開いたりする前に、ラフミックスを一度か二度聴いてみてください。そして聴いている間にメモを取っておきましょう。
- 音楽的に気に入った点は何か?
- 何を改善することができるか?
- この音楽のエネルギーはどこから来ているのか?
- この音楽の中の感情はどこから来るのか?
これらを書き出しておくことで、「ミックスで何をすべきか」という基本的なロードマップが得られ、無駄なミックス作業を防ぐことができます。クライアントのためにエンジニアリングやプロデュースした曲、もちろん自分の作品をミックスする場合でもこのステップは非常に重要です。
まずは楽曲制作が終わったら、曲をバウンスさせ、新しいリスニング環境に持ち込んで上記のメモを取りましょう。 車でも、ヘッドフォンでも、スタジオでも、物理的な空間を切り替えることで、新鮮な視点で曲を聴くことができ、ミックスのロードマップをより明確に書くことができます。
2. まずはフェーダーから
ミックスをどのように持っていくかのチェックリストとロードマップができたら、次の論理的なステップは、フェーダーとパンノブだけを使ってバランスを取ることでしょう。 プラグインを開いてノブを回してサウンドを操作したくなる気持ちもわかりますが、ボリュームとステレオの配置が、最も強力なミックスツールの2つです。
ボリュームとパンだけを操作することで、深みとセパレーションを生み出すことができ、何十個ものプラグインを使用しなくても済みますし、ミックスのフラストレーションも軽減されます。
このステップでは、トラック自体に慣れ親しみ、各楽器が曲の全体的なアレンジにどのような貢献をしているのかを聴きこみましょう。 ミキシングプロセスの中で、ソロボタンを使って個々のトラックを聴く。そうすることで耳に馴染んで、後から修正が必要になりそうな問題点を事前にキャッチできるようになります。
フェーダーをすべてゼロに戻してからやり直すことを恐れないことも重要です。 すべてが正しいと感じるバランスを見つけるには、2~3 回の試行が必要かもしれませんが、ボリュームとパンノブのバランスを確立することで、ミックスにしっかりとした基礎ができ、後の作業が楽になるでしょう。
3. バスのチャンネルで彩りを
次に私が注目するのはミックスバスとその他のサブバスです。ミックスバスチェインの好みは人それぞれですが、一般的にはJ37 TapeやKramer Master TapeのようなテープマシンのエミュレーションとNLS Non-Linear Summerのようなアナログコンソールのサミングプラグンが挿されている場合が多いです。
これらのプラグインはサウンドを彩るように設計されており、ハーモニックディストーションを使ってアレンジにまとまりを持たせる能力を持っています。 バスの処理はすべてに影響を与え、ミックスの全体的な雰囲気や方向性を大きく変えることができるからです。
ミックスの最初の段階でサウンドを彩るプラグインを使用することで、ミックスに磨きがかかり、より完成された "レコード "に近い感覚で作業を進めることができます。
また、私はミックスバス全体に何らかのEQを入れます。PuigTec EQP-1Aのようなプラグインは、ミックスのトップエンドの輝きやローエンドの重みを高めるのに最適です。ミックス全体をカバーする広いストロークのEQを使用することで、チャンネルごとに何度もEQを動かす必要がなくなります。
下の例では、サブバスにNLSを数回、ミックスバスにJ37 Tapeを使用し、トップエンドのEQをほんの少し加えるだけで、ミックスが完成し、より洗練された印象を与えることができます。
Before Mixbus
After Mixbus
4. どの音が主役なのか。
これまでのステップを経れば、ミックスはしっかりとした土台と方向性を持っているはずです。あとは、個々の要素に飛び込み、ミックスの全体的なビジョンに合わせて調整していきましょう。
私はよく、曲の "主役 "になる要素から手をつけます。
ほとんどの場合、それはリードボーカルですが、ドラムのグルーヴやベースラインのような他の要素である可能性もあります。ラフ・ミックスを聴いているときに作ったメモを参照して、曲に対する最初のイメージや、最も重要な要素は何だったのかを思い出してください。
ミックスの最も重要な要素から始めることで、ミックスが進むにつれて、他のすべての要素が最終的に所定の位置に収まるように、しっかりとした基礎が作られるでしょう。
すべての処理の決定はその後の処理にも影響するので、重要な素材が主役になるようにしましょう。理想のトーンを持った強力なボーカルや素晴らしいドラムサウンドがあれば、ミックスの残りの部分の方向性がより明確になります。
そしてミックスの中心となる要素を作る際に、この素材のどこが好きで、どこが気に入らないのかを考えます。
この2つの質問に答えれば、その要素を本当に輝かせるために何をすべきかがわかるでしょう。ボーカルであれば、感情や音色は好きだけど、静かな部分と大きな音の間のダイナミックさが気に入らないということがあるでしょう。そんな時、コンプレッサーを使用し、ダイナミクスを滑らかにしてミックスになじませるなど、対処方法を導き出すことができます。
5. すべてを適切に配置する
ミックスの主役とセールスポイントが決まったら、次のステップは、他のすべてのものを適切な位置に配置し、曲をサポートすることです。これまでのステップが適切に行われていれば、このステップは思ったほど時間はかからないと思います。ミックスの焦点となる部分をすでに処理したので、あとは残りの要素がメインパートをしっかり支えているのか、それとも気を散らしているのかを自問自答してください。各トラックにアプローチする際にこの質問に答えることで、次に何をすべきかを知ることができます。
楽器を配置させる順番は、好みに大きく左右されます。
最も気を散らす要素から始めて、後ろ向きに作業するのが有効な場合もあります。多くの場合、これはベースやその他のローエンドの要素であることが多いのですが、これらの要素は多くのパワーを持っており、ボーカルやメインのメロディーパートを隠してしまうことがあります。問題のある楽器を曲のキーとなる要素と一緒にソロにして、2つの楽器の関係性に焦点を当てます。相互作用がうまくいったら、他の楽器を再び入れてミックスを完成させます
他にも、曲の核となる要素を強調し、メインの要素と同じくらい重要だと感じられる要素に取り組むのも良いアプローチです。パーカッショントラックやバックグラウンドボーカルのような「楽しい」要素をミックスして、リードボーカルやメインドラムのグルーヴを明るくしてサポートすることで、ミックスがすぐに刺激的に感じられるようになり、ミックスを続ける意欲が湧いてきます。
ミックスを進めていく上で、常に自分自身に問いかけるべき最も重要な質問は、「自分がやっていることは何を追加しているのか?」、「自分がやっていることは、曲のインパクトにプラスになっているのか、それとも曲のインパクトを奪っていないか?」ということです。
ミックスをうまくナビゲートするための鍵は、論理的な順序とワークフローを持つことです。ここで提案した方法とは違う手法だからといって悪いことではありません。重要なのは計画を持ち、余計な作業を避けるために自然な流れでお互いにサポートし合うような動きを常に行うことです。さあ、今すぐミックスを始めましょう。
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