ボーカルの「こもり」を解決する3つの方法
ボーカルミックスにおいて、課題になることが多い「こもり」。 このボーカルの「こもり」は 250〜900Hzの間に余分なエネルギーや共振の発生によって引き起こされます。この周波数帯には、ボーカルの「芯」となる要素も含まれているためバランスが難しいところです。そんな「こもり」はレコーディングの段階で対処するのがベスト。そしてミックスの段階でも、Wavesプラグインによって改善することも可能です。
2021.08.30
1. 適切なマイクと部屋を選ぶ
初めてのボーカリストを録音する際には、2~3種類のマイクを使ってレコーディングを試してみましょう。どのマイクがその人の声に最も適しているかを判断します。深みのある声の場合は、低音域を強調したマイクではなく、中音域を強調したマイクが適しているかもしれません。また、レコーディングスペースでの録音位置をいくつか変えてみて、こもりの原因となる反射音があまりないことが理想です。
2. ボーカルトラックをEQでカットする
ボーカルのこもりの除去に、必ずしも最先端のEQを使用する必要はありません。Scheps 73のような音楽的なサウンドのEQを使って、250-900Hzの間でゲインを減衰させてみましょう。
このエリアを狭いQ値でスイープして、問題のある周波数を探します。(探す場合はScheps 73でなくても構いません。)問題のある帯域を見つけたら、Scheps 73のミッドバンドの外側のリングを0.36または0.7(360Hz~700Hz)に切り替え、内側のノブを反時計回りに回してバンドのレベルを下げます。
また、PuigTec EQで100Hzをブーストしたり下げてみたりしてみるのもいいでしょう。PuigTec EQはユニークな共鳴シェルフを作り、ボディ感を加えると同時にこもりをクリーンにします。
3. インストゥルメントバスにダイナミックEQでサイドチェインする
ボーカル単体では問題ないが、ミックスの中で再生するとこもっているように聞こえる場合は、250〜900Hzの範囲で他の楽器の周波数帯をカットしてみましょう。ミックス全体において250〜900Hzにエネルギーが集中していると、ボーカルがこもっているようになることがあります。
F6 Floating-Band Dynamic EQのようなダイナミックEQを使用して、ボーカルの演奏時にのみゲインリダクションをかけてみましょう。F6をインストゥルメント・バスに置き、適度な帯域幅のベル・フィルターを設定します。サイドチェインの入力ソースをボーカルトラックに設定し、スレッショルドレベルを下げてから、インストゥルメントバスの250〜900Hzの帯域をボックス感が減るまでスイープして、この位置でバンドをキープします。
すると、ボーカルトラックのサウンドが鳴っている時はEQが有効になり、「こもり」を避けるようにミックスをすることが可能です。
いかがだったでしょうか。
楽曲やマイク、さらにはボーカリストによってボーカル「こもり」が発生する場面は変わってきます。しかしどんな場面でも諦めずに解決策を探すことが重要です。
さあ、デスクに向かって制作を始めましょう。
人気記事
DiGiGridで制作の全てが変わった:OM Factoryセミナー(その4)
ここまで3回に渡りご紹介してきた、OMFACTORY大島氏によるプレミアムなDiGiGridセミナー。今回は「その4」をご紹介。いよいよセミナーは佳境。完成したばかりのOMFactory下北沢スタジオにて、大島氏が手がけた奥華子
自宅でドラムを録音する方法#2: マイクの選択と配置
ドラムの様々なマイクオプションのサウンドを聴き、様々なマイク配置とダンパーオプションの組み合わせが、最終的なドラム録音の音色にどのような影響を与えるかを学びましょう。
エレクトロ楽曲などに必須のダッキングは OneKnob Pumper で! - Waves Genius
ローエンド強化のプラグイン4つの適切な選び方
太くタイトなローエンドを得ることはミキシングにおける非常に重要な課題ですが、その秘訣は正しいツールを選択することにあります。4種類の異なるベース/サブ・プラグイン(Submarine, LoAir, R-BassとMaxxBass)
プロエンジニアをあなたのDAWに - Curves AQ Review by JUVENILE
音楽プロデューサー、ビートメイカーのJUVENILEです。Wavesのプラグインは僕がDTMを始めたときからずっと使っている仕事に欠かせない道具なのですが、今日は新製品であるCurves AQについてのレビューをさせて頂きた
8/16放送のDTM Station Plus、Desktop Series特集ダイジェストを公開。
Webメディア「DTMステーション」の生放送版として、藤本健さんと多田彰文さんがニコニコ生放送で配信する、DTM Station Plus。8月16日の放送では、発売されたばかりのDiGiGrid Desktopシリーズを特集、シンガーソン
人気製品
Abbey Road Saturator
アビー・ロード・スタジオ公認サチュレーション 伝説的なアビー・ロード・スタジオ公認の音楽的なサチュレーション&ディストーション。クラシックなチューブとトランジスタの音、僅かな歪みから極端な歪みまで。ア
AudioTrack
4バンドの完全パラメトリックEQ、コンプレッサー、ゲートを搭載、省スペースのオールインワンウィンドウを備えたオリジナルのチャンネルインサート・プラグインです。 AudioTrackのパラメトリック4バンドEQは、ベル
BB Tubes
さまざまなボーカルや楽器の音が、いまだかつて聴いたことのない「スピーカーから飛び出してくる存在感あふれるサウンド」に生まれ変わります。繊細な音から攻撃的なアナログの倍音まで、BB Tubes はあなたのミック
Linear Phase Multiband Compressor
アダプティブスレッショルドや自動メークアップゲイン、フィニットレスポンスフィルタなどの比類のない技術を採用しつつ、リニア位相マルチバンドは、優れたマルチバンド・コンプレッション、EQ 及びリミッティング
Magma Spring
「ノスタルジックなヴィンテージ」から「フレッシュなモダンサウンド」まで。さまざまな時代の特徴を持つスプリング・リバーブ・サウンドを切り替える事が可能です。
Eddie Kramer Guitar Channel
Eddie Kramer、Guitar Channelを語る: 「Guitar Channel plug-inはリードギター向けと2種類のリズムギター向けの設定をフィーチャーしている。 リードギターパートは、ライブ感や息をのむようなオーガニズムがあっ
Electric 200 Piano
スティービー・ワンダー、マービン・ゲイ、クイーン、レイ・チャールズ、ピンク・フロイド、スティーリー・ダン、稀代のアーティストたちが愛された、モデル200のエレクトリック・ピアノ。その刺激的で唸るようなリ
Electric Grand 80 Piano
エルトン・ジョン、ピーター・ゲイブリエルからハービー・ハンコックといった80"sポップス、ロック、R&Bのヒット曲で、そしてヴァンゲリスから現代までつながるエレクトロニック・ミュージックの分野でも、時代を形