音痩せしたボーカルの修正方法
素晴らしいボーカルサウンドを得るためには、質の高いレコーディングを行うことが大切ですが、ミックス時に弱々しいボーカルが送られてくることも少なくありません。ここでは、この問題を解決するための4つの簡単な手順を紹介します。
2021.06.21
1. 低域のクリーンアップ
ボーカルを強化する前に、100hz以下の超低域をクリーンアップすることが重要です。これは、ミックスのタイトさを妨げる原因となります。男性ボーカルの場合は、Waves Q10ハイパスフィルターを80-100Hz付近に緩やかなスロープで適用すると効果的です。女性ボーカルの場合は120-150Hz付近に緩やかなハイパスフィルターを設定すると良いでしょう。
2.ボディの強調
ボーカルの「ボディ」の多くは、100~250Hzの範囲にあります。Scheps 73のローシェルフフィルターで200Hz付近をブーストすると、ボーカルの肉付きが良くなります。ボーカルの音が特に「ぼんやり」している場合は、たとえ録音がうまくいっていても、この周波数帯のブーストが必要になります。
3. コンプレッションで安定感を
ボーカルの音に厚みが出てきたところで、このトーンを曲の初めから終わりまで一貫して維持することが大切です。Renaissance Compressorを起動して、中程度の圧縮をかけます。ソースにもよりますが、アタックは気持ち遅めに、リリースは速くします。たった2~4dbのゲインリダクションで、ボーカルのトーンを均一化することができます。
4. ハーモニクスを加える
この時点で、ボーカルにサチュレーションを加えることで、パフォーマンス全体に温かみがでて、ミックスの他のパートと綺麗に馴染むようになります。J37 Tapeを使って60年代、70年代のサウンドをボーカルに吹き込み、テープの設定を変えてみたり、インプット・ノブをドライブしてテープのサチュレーションを加えてみたり。色々な方法を試してみましょう。
いかがだったでしょうか。
低域をハイパスフィルターでスッキリさせ、ボーカルの芯をしっかりさせるため特定の周波数帯をブーストする。
コンプレッサーを使い安定したダイナミクスを確保し、ミックスの中でうまく馴染ませるためにサチュレーションを加えるというのはやはり定番ですね。
ここまで来たら、ボーカルの編集はかなり上達してきたのではないでしょうか。
あとは実践あるのみ。さまざまなボーカルミックスを経験することで、独自の「技」も見出せるかも知れません。
さあ、早速デスクに向かって制作しましょう。
プロモーション
人気記事
「グランド・マスター」バンドル?
世界中のプラグインデベロッパーの中でも、製品数において最大数を持っているブランドといえば、やはりWAVESです(それゆえ、営業スタッフである私たちはなかなか説明にも苦労があるのですが…それはさておき)。その
My Favorite Waves ─ 保本 真吾(CHRYSANTHEMUM BRIDGE)
全く最新のプラグインではありませんが、S1 Imagerは「必ず」使っています。スピーカーのここ(手を広げ、スピーカーユニットの”外側”を表し)で音を鳴らしたいときですね。特に広がりのあるシンセに対して使います
NASCAR「Daytona500」PitbullのパフォーマンスにWaves eMotion LV1 Classicコンソールを採用
世界最大級のモータースポーツイベントのひとつである「Daytona500」の放送において、Pitbullによるレース前のショーの音声を担当したフロント・オブ・ハウス・エンジニア兼プロデューサーのジョン・ブイトラゴ(Kar
WAVES Universe 第一弾:飛澤正人氏によるMixがうまくなるTips(その5)
飛澤正人さんによるWAVESを使ったMixがうまくなるTips。いよいよ最終回となる「その5」をお送りいたします。
LV1&SuperRack専用iPadアプリ「MixMirror」リリース
Waves eMotion LV1ライブミキサーとSuperRackをコントロールするタブレット用リモートアプリ「MixMirror」が2024年1月22日に発表いたしました。iPadにインストールすることで会場のどこからでもプラグインをコントロ
MIXを始めよう!5つのステップでアプローチ
ミックスと一言で言っても、どこから手をつけたらいいのでしょうか。ローエンド、ボーカル、それともやみくもにフェーダーを触ることでしょうか?ご安心ください。ここでは曲を仕上げるための5つのステップをご紹介
人気製品
Abbey Road Chambers
美しいナチュラルチェンバーリバーブから近年人気が急上昇しているディレイカスケードなど、アビーロードの第二スタジオに設置されたエコーチェンバーの豊かなサウンドは今や伝説となっています。長年に渡って失われ
Abbey Road TG Mastering Chain
70年代以降、Abbey Road Studiosにおけるすべてのマスタリングを支えてきたEMI TG12410 Transfer Consoleを、モジュラー方式のマスタリング・チェイン・プラグインとしてモデリングで再現。Abbey Road TG Mastering
AudioTrack
4バンドの完全パラメトリックEQ、コンプレッサー、ゲートを搭載、省スペースのオールインワンウィンドウを備えたオリジナルのチャンネルインサート・プラグインです。 AudioTrackのパラメトリック4バンドEQは、ベル
BB Tubes
さまざまなボーカルや楽器の音が、いまだかつて聴いたことのない「スピーカーから飛び出してくる存在感あふれるサウンド」に生まれ変わります。繊細な音から攻撃的なアナログの倍音まで、BB Tubes はあなたのミック
DeBreath
シンガーは、たとえテイクが台無しになってしまおうともブレス(息継ぎ)で主張をするものです。DeBreathを使えば、そんなブレスをエンジニア好みに軽減、あるいは除去することができます。つまり、シンガーはエンジ
Eddie Kramer Drum Channel
ビートルズ、ジミ・ヘンドリックス、レッド・ツェッペリン...ロックが市民権を得る時代に生まれたレコードに共通しているのは、最もミックスに頭を悩ませる楽器であるドラムの音が普遍的な美しさを持っているという
Electric Grand 80 Piano
エルトン・ジョン、ピーター・ゲイブリエルからハービー・ハンコックといった80"sポップス、ロック、R&Bのヒット曲で、そしてヴァンゲリスから現代までつながるエレクトロニック・ミュージックの分野でも、時代を形
F6 Floating-Band Dynamic EQ
F6 Floating-Band Dynamic EQは、フル・パラメトリック仕様の6つのフローティング・フィルター・バンドそれぞれにEQ/コンプレッション/エキスパンダーを統合した先進のダイナミックEQコントローラを備え、精密手術の