ビリー・アイリッシュのミキシングについて聞いてみた!ロブ・キネルスキー氏へ のインタビュー
ビリー・アイリッシュのミックスエンジニアとして知られ、5回もグラミー賞を受賞したロブ・キネルスキー。
グラミー賞のレコード・オブ・ザ・イヤーを受賞した「Everything I Wanted」のミックスについて語っていただきました。
2019年ロブ・キネルスキーにインタビューしたとき、ビリー・アイリッシュのデビューアルバムが発売されたばかりでした。
以来、ビリーと彼女の兄でありプロデューサーでもあるフィニアスは、音楽界最大の(そして最も意外な)スターとなりました。ロブはこのホーム・プロデュース・デュオとの仕事で5つのグラミー賞を受賞しましたが、直近では Everything I Wanted がレコード・オブ・ザ・イヤーです。
私たちはロブに、この曲のミックスについて、ビリーの音楽で最もエキサイティングだと思うものは何か、そして過去に戻ってミックスしてみたかった音楽は何かを尋ねました。
2021.06.02
ロブ、今回のグラミー賞受賞おめでとうございます。Billie Eilishをミックスするときはいつもそうですが、ボーカルは非常に親密で催眠的な感じがして、思わず吸い込まれそうになります。サウンド的には彼女が目の前にいるのに、特定の言葉の感情がステレオフィールドの中で「ダンス」をしているかのようです。ヴォーカルではどのようにして実現しているのでしょうか。
フィニアスとビリーは、魔法のようなステレオフィールドを作り出す名人です。私は幸運にも、彼らからこのように加工された音楽を受け取ることができます。このようなボーカルをミックスするときは、透明感のあるアプローチをとります。魔法の邪魔をしたくない、繊細さが大事なのです。EQでは、通常、周波数をカットするだけで、ブーストはほとんどしません。コンプレッションも穏やかなものが多く、通常はR-Voxでボーカルを引き締めるのですが、この曲ではPuigChlid 670コンプレッサーを使いました。また、ボーカルライダーとオートメーションを使って、ビリーのボーカルを常に存在感のあるものにする。また、マイクロシフトやダブルエフェクトを使って幅を持たせることもあります。このときのコツは、ほとんど聞こえないようにすることです。もし、その効果が聞こえてきたら、それはやりすぎです。あくまで感じられる範囲内抑えるのです。
"Everything I Wanted "は、アレンジもミックスもとてもユニークです。この曲は没入感があり、"セラピー "のようでもあります。他のアーティストの曲と一緒にプレイリストに入れて聴いてみると、そういう意味ではとても際立っています。これはミキシングの際に意識したのでしょうか?
ありがとうございます。必ずしも意図したものではないと思いますが、ユニークな作品を与えられると、結果的にそうなってしまうことがあります。
私も含めて、人によってはリファレンス・ミックスを使いすぎて、「音を追いかける」ようなことがあると思います。つまり、すでに世の中にあるものと同じ音を出そうとしてしまう。この曲にリファレンス・ミックスはありますか?
この曲の場合、何かを参考にしたわけではありません。私はただ、ビリーとフィニアスが目的地にたどり着けるように手助けをし、私が邪魔にならないようにしただけです。
この音楽が特別なのは、音的に何かを参照したりコピーしたりしないからです。だからこそ、私は残りの2020年代をとても楽しみにしています。「ジャンル」という概念は消えつつあるようですし、人々は本当に面白い音楽を作っているので、これからの展開に期待しています。
前回のインタビューでは、ロック出身であることをお聞きしましたが...。
その通りです。ニルヴァーナの『ネヴァーマインド』は、私の人生を変えたアルバムです。それがきっかけで、音楽を演奏したい、作りたいと思うようになりました。でも、私はもともと複数のジャンルに取り組むのが好きでした。最初の頃は、ロックの仕事もしたし、ヒップホップの仕事もしたし、いつも自分はその中間にいると思っていました。ビリーとフィニアスは、私がヒップホップをたくさんやっていたことを知っていたので、彼らの音楽にそれを取り入れて、ローエンドを出してほしいと思ったのです。
もしも過去に戻れるとしたら、過去のどの曲やアルバムをミックスしたいですか?
実は、過去に戻って何かをミックスしたいとは思わないんですが、できることなら喜んでビートルズのランチの注文を取ったり、エルトン・ジョンのピアノマイクのセッティングをしたり、フリートウッド・マックのテープ回しをしたり、レッド・ツェッペリンのクリーニングを取りに行ったりしたいです。(笑) できることなら、私は過去に戻って、偉大な人たちの隣に座って学びたいですね。
人気記事
DiGiGrid DLS導入レポート – 鈴木Daichi秀行
2013年のNAMMショーで発表され、ネットワークで自由にI/Oを拡張でき、Wavesプラグインが超低レイテンシーで使えるソリューションとして注目を集めてきたDiGiGrid製品ですが、2014年10月、ここ日本でもPro Tools向け
DiGiGridで制作の全てが変わった:OM Factoryセミナー(その3)
前回、前々回に引き続き、OMFACTORY大島su-kei氏によるプレミアムなDiGiGridセミナーを映像化したものをお届け。話題は多くのユーザーが気にするべき、CPUネイティブ環境・最大の欠点からスタートする。
読むだけでミックスがうまくなる?オートメーション活用 7つのヒント
今や、DAWに搭載されたオートメーション機能はとてもパワフルになりました。ご存知の通り、すべてのミキサーとプラグインのエフェクトパラメータを自動化することができ、人の手だけでは、実現不可能だったコントロ
キックドラムのEQ処理:キホンのキ
ミックスの中でキックドラムを適切に表現するためには、サブ、ローミッド、アタックの3つ要素が必要です。ここでは、ミックスに合わせてキックドラムを適切にイコライジングする3つの基本的なステップをご紹介します
かごめPセミナー第5回 アーカイブ
かごめPのGoldバンドルだけで始めるマスタリング講座
声にツヤを。たった1ノブで洗練された仕上がりへ〜Waves Gregg Wells VoiceCentric
音楽制作やポッドキャストで、声に「もうひと味」足りないと感じたことはありませんか?もう少しツヤが欲しい、存在感を出したい…そんな時に頼れるのが、ボーカル処理専用のオールインワン・プラグイン Waves Gregg
人気製品
MetaFilter
MetaFilterは、豊富なモジュレーション方式の選択が可能な、Waves 独自のヴァーチャル・ヴォルテージ・テクノロジーをエンジンとするマルチモード・フィルターです。フィルターで積極的な音作りをしたいときはMetaFi
MetaFlanger
優れたヴィンテージタイプのフランジングやフェイザーエミュレーションサウンドのような音はこれまで実現することができませんでした。 MetaFlangerは、モジュレーションの未来形です。穏やかなコーラスやデュアルデ
Nx Virtual Mix Room over Headphones
Waves Nxは、Wavesが開発した革新的テクノロジーにより、自然な奥行き、反射、広がりのあるステレオ音像といった、実際のスタジオでスピーカーを通したような音響空間をヘッドフォン上に再現し、ヘッドフォンを確か
MaxxBass
ローエンドをきちんと再生するには、ヒットレコードやメジャーな映画などに使用されている低音補強テクノロジーMaxxBassをお勧めします。 MaxxBassは、音響心理学現象を使用して、サウンドの基本音調とぴったり合う
API 550
60年代後半に誕生し、API独特のパワフルかつ滑らかなキャクターを決定づけた伝説的レシプロ・イコライザーを、プラグインで再現
Bass Fingers
ベースの奏法の中でも最も微細なニュアンスを表現するフィンガーピッキング(指弾き)を再現。リアルなサウンドのベースラインや経験豊富なベースプレーヤーの個性的なサウンドを、キーボードで直感的に演奏すること
Bass Slapper
かつてないほどのディテールとリアリスティックなサウンドを持つスラップ・ベース・プラグインが誕生しました。熟練プレイヤーのようなニュアンスとアーティキュレーション、そのすべてを生み出すことができます。ス
Renaissance Vox
ボーカル・トラックのために、特別に最適化された比類のないパワフルなダイナミックプロセッサRenaissance Voxは、圧縮、ゲート/エクスパンション、リミティングそしてレベルマキシマイゼーションの簡単で効率的なコ