DiGiGridで制作の全てが変わった:OM Factoryセミナー(その3)
前回、前々回に引き続き、OMFACTORY大島su-kei氏によるプレミアムなDiGiGridセミナーを映像化したものをお届け。話題は多くのユーザーが気にするべき、CPUネイティブ環境・最大の欠点からスタートする。
2020.01.01
どんなにCPUパワーが上がり、コンピュータ本体のパフォーマンスが素晴らしいものになってきたとしても、負荷の高いプラグインをインサートした瞬間に再生がストップしてしまうことがある。
コア数も余裕、パワーも余裕、メモリだって十分に積んだはずなのに、どうして時々このようなことが起こるのか。大島氏の説明は、まずここからスタートする。
コンピュータの進化の歴史、そしてこれからどう進化していくかにも詳しい大島氏ならではのトーク。コンピュータという「ツール」で録音、ミックス、あるいは作曲をするみなさまにとっても、興味深い話であると思う。
話題はDiGiGridのさらに中核へ。プラグインサーバー機能を搭載したDLS、IOSのそれぞれについて、クリエイターならではの視点でメリットが語られる。
ビデオ中のスライドでも触れられている通り、
「今までのインターフェースとは違い、DSPチップが中に入ったのではなく、インターフェースにPCがそのまま入ったイメージ」
この表現はクリエイターであり、DAW専用PCの設計から製作までを行う大島さんならではの言葉であろう。
1:30辺りからは、いよいよDiGiGridのパワーを生かしたデモンストレーションが実演される。ここは、大島氏のコメントに注意してビデオをチェックしていただきたい。ビデオ以外で直接伺ったときに大島氏は、
「プラグインを『ただ掛けたい』だけなら、別に外部プロセッサーは必要ないかもしれない。しかし、バッファー値を最低にした状態(32サンプル)で、体感スピードを一切ロスせずに最後まで作業するなら、内部CPUだけでは無理で、この状態のまま最後まで処理が行えることに、DiGiGridの真価があると思います」
話題は引き続きDiGiGridのプラグインサーバー付きモデルのパワーについて。繰り返しになるが、このセミナーイベントはバッファー値を最低の32サンプル(48kHz)で行っている。
それなのに、大島氏は次々とヘビーなプラグインを簡単にインサート。
ビデオ後半では、DiGiGridの「賢い」ポイントをひとつ。
例えば自宅スタジオでIOSを使用していて、プラグインを全てIOSのプラグインサーバーに処理させてセッションを作った。そのセッションをノートマシンにいれて外部スタジオや友人宅(プラグインサーバー機能つきのDiGiGridハードウェアがない)に持っていった場合、プラグインは全部挿し直ししなくてはならないのか?
答えはビデオにて。大島氏のようにさまざまなロケーションで制作や作業がある方には、「あっ」と思わせてくれるトピックスが語られる。
次は拡張性について。「拡張性の高い」と謳う製品は数多くあるが、大島氏はDiGiGridに対して「これぞユーザーが求めていた、本当の拡張性。実にすごい」と語る。
トークは機材好きにたまらない、大島氏の想像する「こんなDiGiGrid製品・関連製品が出てきたらいいな」で盛り上がる。ムービーは大島氏のアップになっているため伝わりづらいが、会場の参加者も大島氏の想像トークに大きな頷きを繰り返していた。
大島氏はこのセミナーの後日、DiGiGrid/DiGiCoのプロダクト・スペシャリストであるダン・ペイジ氏とも対談している(本記事最後のリンクを参照)。大島氏の想像から新たな製品が生まれることもあるかもしれない。
1:55辺りからは、これもまた多くのユーザーが気になるであろう、音質面についてのトーク。ここでビデオを見る際にチェックしていただきたい単語として、
・LANケーブルには絶対の信頼を寄せている
・一般的なデジタルケーブルの「中」で起きているのは、多数のエラーで、これらは正しく訂正されることがない
他ならぬ私がそうだが、コンピュータそのものやネットワークなどに関する専門用語がいくつも並ぶと、頭が追いつかなく、その分理解も浅くなりがちだ。しかし大島氏のトークはわかりやすい例えと、軽快なトークがそういった難しさを感じることなく頭に入ってくる。
次回は大島氏が手がけた、奥華子さんの新曲プロジェクトについて。DiGiGridを導入してすぐに制作に取り掛かったというセッションを実際に再生しながらの記事をご紹介する。
プロモーション
人気記事
LV1&SuperRack専用iPadアプリ「MixMirror」リリース
Waves eMotion LV1ライブミキサーとSuperRackをコントロールするタブレット用リモートアプリ「MixMirror」が2024年1月22日に発表いたしました。iPadにインストールすることで会場のどこからでもプラグインをコントロ
ベーシックなボーカル処理を再確認しよう
今回ご紹介するのは、人気のMixがうまくなるTipsより、「ベーシックなボーカル処理を再確認しよう」です。
リズム隊のミックスTips! – Vol.7 ギター後編
前回のギター前編に続き、今回はギター後編をご紹介。ムービー前半はメロディーラインのようなアルペジオの処理、後半は「歪んだギターの壁の作り方」ステップの解説となっています。
Waves CA導入事例:ラスベガスの高級ラウンジのサウンドをブラッシュアップ
AVインテグレーション、デザイン、エンジニアリングのリーディングカンパニーとして知られているNational Technology Associates(以下NTA)が米国ネバダ州ラスベガスの新しいダイニング「Todd English's Olives」の
Waves Curves EquatorとIDX Intelligent Dynamicsプラグインの違いとは?
Waves Curves EquatorとIDX Intelligent Dynamicsは、どちらも音のインパクトやクオリティを向上させる設計になっています。この記事では、それぞれのプラグインがどのように機能するのか、どんな場面で、なぜ両方を
プラグインチェインを活用して作曲やミックスの作業効率アップ!WAVESの無料プラグイン「Studio Rack」をレビュー!
「Studio Rack」は、所有しているプラグインを読み込んで自分だけのエフェクトを組み合わせたプラグインチェインが作れるWAVESの無料プラグインです。新たに公開されたStudio Rack V14ではサードパーティ製のVST3プ
人気製品
Abbey Road Studio 3
数え切れないほどの傑作と伝説を生み出してきた英国アビーロード・スタジオの『Studio 3』 コントロール・ルーム。Waves Abbey Road Studio 3は、Studio 3の音響環境そのものをヘッドフォンに再現するプラグインです
API 550
60年代後半に誕生し、API独特のパワフルかつ滑らかなキャクターを決定づけた伝説的レシプロ・イコライザーを、プラグインで再現
CLA-3A
ユニークで非常に透明感のあるコンプレッションカーブを持つことで知られる70年代初期のソリッドステートユニットをベースに開発されたCLA-3Aは、実機同様に素早いレスポンスと繊細な倍音歪みを提供します。オリジナ
Berzerk Distortion
ワイルド、クレイジー、クリエイティブなディストーションのための強力なプラグイン。全10種類オリジナルのディストーション波形、アドバンスドフィードバック、ピッチ、ダイナミクス、サイドチェイン、M/Sプロセッ
CLA-2A
伝説的なエレクトロ・オプティカル(電気光学式)チューブコンプレッサーをモデリングしたCLA-2Aは、世界中のエンジニアのお気に入りとなった、オリジナルのスムースで周波数追従型の動作を再現しています。60年代中
DeEsser
ボーカルトラックから過剰な歯擦音("エス"や"シッ"など)を軽減することに関して、Waves DeEsserに勝るものはありません。ヴィンテージギアから多大な影響を受けた検知と、高域へのリミッティングが特徴のDeEss
Eddie Kramer Effects Channel
Eddie Kramer、Effects Channelを語る: 「Effects Channel プラグイン用に、私は音を絵の具を塗るように使う、基本的ないくつかの要素を再現することから始めたんだ。そして何年もの時間をかけ、これらの要素がウィ
DeBreath
シンガーは、たとえテイクが台無しになってしまおうともブレス(息継ぎ)で主張をするものです。DeBreathを使えば、そんなブレスをエンジニア好みに軽減、あるいは除去することができます。つまり、シンガーはエンジ