検索
ヘッドフォンでのミキシング。あらゆる再生機で良い結果を得るために

ヘッドフォンでのミキシング。あらゆる再生機で良い結果を得るために

ヘッドフォンは比較的手頃な価格でコンパクトに持ち運べるため、プロダクションやレコーディング、ミックスのモニタリングシステムとしてとても便利です。しかし、本格的なミックスやプロダクションでの判断を伴うとき、ヘッドフォンには十分な音響的信頼性はあるのでしょうか?それとも信頼できるスタジオモニターにこだわらざるを得ないのでしょうか?
ヘッドフォンのリスニングには多くの落とし穴が潜んでいますが、Waves Abbey Road Studio 3のバイノーラル技術が解決策を提供します。

2020.01.01

スピーカーの代わり

ヘッドフォンは「スタジオモニターの代わりになる。」と思われています。そのためスピーカーが使用できないとき、多くの人がヘッドフォンでのミキシングに落ち着きます。

旅行中や部屋の音響が悪い、隣の人に迷惑がかかるなど、スピーカーが使用できない理由は様々でしょう。ところが「スタジオモニターの代わりになる。」と思われていたヘッドフォンは人間にとって自然なリスニング体験ではありません。実際の周囲の状況や、スピーカーとの距離は、私たちの耳が周波数を知覚することに非常に多くの影響を与えています。スピーカーで実際に音を聴いて制作をしたいという人が多いことは当然のことなのです。

ところがその欠点にもかかわらず、ヘッドフォンは間違いなく現代の音楽制作、ミキシング、さらにはマスタリングの必需品です。とりわけ不慣れな音響環境や信頼性の低いスピーカーしか使えない場面などではヘッドフォンに頼らざるを得ません。そんな状況のときこそAbbey Road Studio 3は最善の解決策です。Waves Nxテクノロジーをベースにしたこのプラグインは、ヘッドフォンの音響体験を根本から変えようとしています。

音響心理学の技術を利用したAbbey Road Studio 3ヘッドフォンにおける3Dオーディオを実現し、伝説的なミックスルームであるAbbey Road Studioにセットアップされたスピーカーのようなサウンドと体験を実現します。本当にその場にいるかのような音像を感じることができ、ヘッドフォンの可能性をさらに広げることでしょう。

それではヘッドフォンとラウドスピーカーのモニタリングの決定的な違いをいくつか挙げていきます。そこでAbbey Road Studio 3がどのような解決策を提供できるのか、細かく見ていきましょう。

音源との距離感

ヘッドフォンは耳に密着し、スピーカーの場合は耳との間に空間があります。これが最も大きな違いです。この物理的な空間と時間が失われることで、私たちが聞き慣れている自然な部屋の反射音は除去され、オーディオの聴こえ方が劇的に変わってしまいます。

ヘッドフォンで作業をするのがあまり好きではない私は、Abbey Road Studio 3がどのように空間を変えるのか、とても興味がありました。やはり、Abbey Road Studio 3が提供してくれた最も顕著な違いは、音源との距離感でした。

Abbey Road Studio 3を使用してもヘッドフォンは頭につけたままなので、物理的な距離は変わりませんが、知覚される距離はより深く、より具体的なものになりました。音楽がすぐに鼓膜に向かってくるのではなく、より開放的で、広々とした、そして拡散したような感覚になっています。

この体験は、あなたの目の前の数フィートにあるスピーカーから聞こえてくるサウンドを知覚する場合に非常によく似ています。この変化は、最初は少し不思議な感じがしますが、すぐに音楽的にも快適に聴けるようになり、より現実=モニタースピーカーでの作業に近い感覚になるでしょう。

そして、もう一つ、ミックスの判断に特に影響を与える空間的な問題として、ヘッドフォンとスピーカーにはステレオイメージの違いがあります。

ステレオイメージの違い

ステレオイメージングは、ヘッドフォンでの作業をする上で、最大の問題の一つです。ヘッドフォンが耳に密着している性質上、左右のチャンネルがクロストークや環境の干渉を受けることなくリスナー耳に”直送”されるため、いつもヘッドフォンを使っていると、些細なパンニングでも極端にパンニングされているように感じ、その間にあるものはすべて"センター"にあるように感じます。

スピーカーで作業をしていると、ステレオ空間やミックスの中で左右の要素がどこにあるのか、より具体的に感じることができます。これらのイメージは、ミックスにリバーブやディレイを配置する際にも重要な役割を果たします。

Waves Abbey Road Studio 3は、ファントムセンターが前面に出ているので、通常のヘッドフォンよりもはるかに快適でリアルな方法で左から右に回り込むような音が得られます。リードボーカルの配置や操作も簡単です。リバーブやディレイは、通常のヘッドフォンのような派手で聴きやすいものではありませんが、より自然な形で存在しているので、スピーカーで実際に鳴らした時の響きは格段に良くなります。

全体的なステレオ幅は通常のヘッドフォンよりも狭く感じますが、従来のスピーカーセットアップと同等以上の幅を持っています。このプラグインは、ニアフィールド、ミッドフィールド、ファーフィールドのモニタリングオプションを切り替える機能も備えており、モニタリング環境を切り替えるごとにステレオフィールドの感じ方が微妙に異なるため、とても参考になるでしょう。

Abbey Road Studio 3が提供するこの自然なステレオイメージのソリューションは、他の環境でより良いサウンドで鳴るミックスを実現する上で最も重要です。Abbey Road Studio 3がなければ、ヘッドフォンでのミキシングは推測の域を出ません。

疲労の蓄積

ヘッドフォンを使った作業の最大の課題と危険性の一つは、他の作業環境よりも急速に耳の疲労が蓄積される傾向があることです。鼓膜に直接送られる音は、どのような音量であっても、聴覚にとって理想的なものではありません。

Abbey Road Studio 3の使用は、ヘッドフォンを着用する必要があり、音は耳に直接送られますが、疲れにくく、疲労感が少なくなります。作成されるバイノーラルの「空間」が、硬い、ストレートに鳴る性質のヘッドフォンサウンドを受け止めるのです。

サウンドの輪郭が削られることもありません、Abbey Road Studio 3のスタジオでは音が「呼吸」しているのです。結果として、耳の疲労を軽減できるリスニング体験が得られます。明らかに、新鮮さを保ち、明確な視点を維持するために頻繁に休憩を取ることはまだ推奨されていますが、Abbey Road Studio 3を導入する事で、さらにに快適なミキシング体験が得られることでしょう。

また、追加のNx Head Tracker for Headphonesを使えば、さらなる臨場感を生み出し、ヘッドフォンの疲労軽減に大きく貢献していると感じました。ヘッドトラッカーは空間内での頭の動きをリアルタイムで捉え、バーチャルスピーカーへの近さに応じて周波数スペクトルを調整するため、サウンドは常に微妙に変化しています。これは、実際にスピーカーの前に座って作業しているような感覚になりえます。

ヘッドフォンが作り出す直接的な音の感覚に反し、実際に頭を前後に動かし、センターのスイートスポットの周りを移動することで、新鮮な視点が得られ、ミックスの際にとても役に立ちます。

周波数スペクトルとローエンド

どのようなリスニング環境においても、周波数スペクトルを正確に再現することは容易ではありませんが、ヘッドフォンはそれをさらに困難にします。私たちの耳は、異なる音量で異なる強さを持つ周波数を知覚します(等ラウドネス曲線を参照してください。)、なので、ヘッドフォンの音量で鳴らした周波数を直接耳に注入すると、スピーカーとは全く異なるリスニング体験になってしまいます。

これは特に低域の周波数に当てはまります。ローエンドの物理的な波長は信じられないほど長く、正しく知覚されるためには時間が必要です。低域のエネルギーは、一般的に "聞く "のではなく、胸郭の振動によって "感じる "のです。

ヘッドフォンには、低音域のエネルギーを蓄えるための物理的な空間や空気がほとんどないため、低音域の音量を「偽装」するために、近接効果と耳への近さに頼っています。

前述したAbbey Road Studio 3が提供する空間のおかげで、結果として周波数スペクトルが、さらにリアルに感じられるようになりました。ローエンドには時間をかけて息を吹き込んでいるような感覚があり、トップエンドには直接的で臨場感のある感じはもうありません。

ヘッドフォンの再生音がもたらす不快なアーティファクトではなく、まるでスピーカーのサウンドに基づいてEQをかけているかのように、EQの操作はより信頼できるものになっています。

いつでもどこでも同じサウンドで

ヘッドフォンの重要な利点の一つは、プロの手で処理されたスタジオモニタリング環境でさえも提供できない、一貫性です。どんなにデザインされ、メンテナンスされた部屋でも、部屋の中で何か物理的に変化したり、誰かがスピーカーを数インチ動かしたりすることがあります。

一方、ヘッドフォンは耳に直接装着する固定式のリスニングソースであるため、日々のリスニング体験を変化させる可能性のあるあらゆる変数を取り除くことができます。Abbey Road Studio 3を使用すると、ヘッドフォンリスニングの落とし穴なしで、いつでもどこでも同じサウンドのリスニング環境を手に入れることができます。

最後に

Abbey Road Studio 3が意味することは、スピーカーを使わなくてもいい、という事や、プロフェッショナルなスタジオへの憧れを脇に置いたりする事ではありません。このプラグインはサウンドの判断に大きなメリットをもたらし、多くの現代のプロデューサーやミキシングエンジニアに大きく貢献できるものです。ヘッドフォンは、携帯性と使いやすさの利点をもち、人々の忙しいライフスタイルに対応しています。

ヘッドフォンでの作業をより信頼できる環境に変えるAbbey Road Studio 3は、より多くのプロデューサーに愛されていく事でしょう。

関連記事

ヘッドフォンさえあれば得られる、最高のモニター環境
ヘッドフォンさえあれば得られる、最高のモニター環境

日本の一般的な制作環境を考えると、ヘッドフォンで作業されている方はかなり多いと思います。中には、住居の関係上、スピーカーで音を鳴らすのが難しい方も少なくないはず。そんな時、ヘッドフォンさえあれば世界最

アコギをオケに馴染ませる3つの方法
アコギをオケに馴染ませる3つの方法

アコースティック・ギターは、周波数帯域が広いため、ミックスの中にうまくフィットさせるには工夫が必要なパートです。この問題を解決するための3つのヒントをご紹介します。ステレオフィールド内に効果的に配置し

Mix with WAVES - Ovall ミックスコンテスト 結果発表
Mix with WAVES - Ovall ミックスコンテスト 結果発表

「Mix with WAVES - Ovall ミックスコンテスト」の結果発表!

ダイヤルを回すだけで理想のサウンドに
ダイヤルを回すだけで理想のサウンドに

インスピレーションが湧き、その頭の中にあるサウンドを素早く実現するために、どのようなツールを使っていますか?今回はOneKnobプラグインのクリエイティブなパワーをご紹介。たった1つのダイヤルから、最適なミッ

Mix with Waves 「Renaissance Maxxでハイハットを処理してみよう」 編
Mix with Waves 「Renaissance Maxxでハイハットを処理してみよう」 編

ミックスをこれから始めよう、という方は、きっと様々なウェブサイトや友人からの情報を聞いて徐々に勉強をされていくことと思います。もちろん、ミックスに正解はないので自由にやることが1番ですが、EQやコンプな

Mix with Waves 「Renaissance Maxxでベースを処理してみよう」 編
Mix with Waves 「Renaissance Maxxでベースを処理してみよう」 編

ミックスをこれから始めよう、という方は、きっと様々なウェブサイトや友人からの情報を聞いて徐々に勉強をされていくことと思います。もちろん、ミックスに正解はないので自由にやることが1番ですが、EQやコンプな

関連製品

CLA Nx
CLA Nx

26,290
CLA Nx + Nx Head Tracker
CLA Nx + Nx Head Tracker

この小さな Bluetooth デバイスをあなたのヘッドフォンに取り付けると、あなたの頭の動きを検知し、Nxテクノロジーによって、リアルな3Dオーディオの体験を可能にします。Nx Head TrackerをNx 3Dオーディオ・アプリ

34,760
Vocal Production
Vocal Production

チューニング、ピッチシフト、ベンド、シンセサイザー、ミックス、エフェクトの追加など、最高のボーカルサウンドを実現するために、ビヨンセ、ドレイク、ビリー・アイリッシュなどのアーティストに使用されているプ

42,240
Abbey Road Reverb Plates
Abbey Road Reverb Plates

1950年代に生まれたプレートリバーブは、現在まであらゆる音楽レコーディングに欠かせない要素であり続けています。60〜70年代、ビートルズやピンク・フロイドを始めとする先駆的バンドに頻繁に使用されたのがアビー

4,686
API 550
API 550

60年代後半に誕生し、API独特のパワフルかつ滑らかなキャクターを決定づけた伝説的レシプロ・イコライザーを、プラグインで再現

3,630
CLA Drums
CLA Drums

Waves Artist Signature Seriesは、世界のトッププロデューサー、エンジニアとのコラボレーションにより生まれた目的別プロセッサーシリーズです。全てのSignatureシリーズプラグインは、アーティストの個性的なサウ

3,630
dbx 160 compressor / limiter
dbx 160 compressor / limiter

オリジナルのdbx® 160は、1970年代の他のコンプレッサーと比べ、非常に歪みが少なくクリーンなサウンドで、特にドラムのコンプレッサーとして評価されてきました。入力信号に素早く反応するdbx 160コンプレッサーは

3,630
Doppler
Doppler

ドップラー効果だけでなく周波数、速度、音源からの距離をピンポイントの正確さでコントロール。

2,904
Products
Solution
Contents
Support
Company
Instagram YouTube