
Piano & Keys 製品レビュー
収録されている一通りの鍵盤楽器を試してみて一様に感じるのは、プリセットの完成度の高さです。こういったソフトウェア音源の場合「このプリセット、どこで使うんだろ?」と思うような使いにくいものがあったりしますが、Piano & Keysに収録されているものにはそれがない。どのプリセット高いレベルとクオリティを持っています。また、エフェクトの効きの良さはWAVESならでは。実機にこだわるあまりトーンコントロールをしにくいといったことがなく、目指したい音色に素早く仕上げられると感じました。
2020.01.01
Grand Rhapsody Piano
一番最初に試したGrand Rhapsody Pianoは、いい意味で裏切られました。「WAVESといえばエフェクト」というイメージがあったので、正直あまり期待をしていなかったんです。ところが、パッと弾いた瞬間に「あれ?これいいな」と。特にマイクのバリエーションが豊富で、一通りの欲しいイメージはこれだけでも得られます。近年はソフトウェアのピアノ音源のクオリティがものすごく高くなっていますが、いいピアノ音源ってMIDIキーボードに触った瞬間に「あ、こういう(実際の)ピアノ、あるよね」という現実感のようなものを感じさせてくれるんです。あまり優れていないピアノ音源の場合はそれがなくて、使いづらさ、非現実的感すら感じてしまいます。Grand Rhapsody Pianoの音を最初に出したとき「あ、知ってる」と感じました。パラメータを色々と変えてみても「これも知ってる」「こっちも知ってる」という感覚を与えてくれます。
Grand Rhapsody Pianoのサンプルに使用されているFazioliのピアノ、これは実際に触ったことはないのですが、コンサートなどで音を聞いたことはあります。音が大きく豪華な音のするピアノだなという印象ですが、Grand Rhapsody Pianoに搭載されているマイクやエフェクトを駆使すれば、僕が持っているイメージ通りの音はもちろん、もっとメロウで甘い音のするピアノまでカバーできました。非常に優等生なピアノ音源だと言えますね。
Electric Grand 80 Piano
YAMAHA CP-80を再現したElectric Grand 80 Piano。僕は数回、スタジオで実機を演奏したことがあります。率直な感想としては「実機よりもクオリティが高いな…」という感覚。オリジナルはもうビンテージ機器になりつつあるものなので、鍵盤の状態なども含めて最高の状態と呼べるものは、あまり多くはないのではないでしょうか。僕が演奏をしたことがあるものも決してパーフェクトとは言えませんでしたが、WAVES Electric Grand 80 Pianoはいいですね。グランドピアノの代用品として登場したものですが、サウンドはCP-80ならでは。でも、この音がアレンジ上で欲しいシーンもあります。歌の伴奏をするときには、これくらいの奥ゆかしさがちょうどいい。アコースティックのピアノでは主張が強すぎてボーカルが主役に聞こえなくなってしまう場合などですね。僕自身もアレンジの中であえてCP-80のサウンドを選ぶことがあります。グランドピアノとは違う楽器として捉えたいですね。Electric Grand 80 Pianoはそのキャラクターをうまく捉えています。
Clavinet
Clavinetも素晴らしい完成度。クラビネットって多くの方が想像している「あの曲のあの音」というパターンが、他の楽器に比べてさほど多くないのではないかなと思うのですが、このClavinetのプリセットではやはり網羅されていますね。ワウ、フェイザー、コーラス、リバーブの必須エフェクトも揃っているので、これだけで十分なクラビネットサウンドを作ることができます。また、ミュートコントロールはファンキーな演奏に映えそうです。Piano & Keysに収録されている音源にはどれもフォルマントをコントロールするFormantつまみが用意されていますが、クラビネットにはまさに「欲しかった」機能といえます。楽曲の中で「ちょっと音ヌケがほしい」と思ったとき、EQやワウで調整しきれない部分を全体のイメージを崩さずにコントロールできます。
Electric 88
Rhodesを再現したElectric 88もまたプリセットが豊富で、だいたい思いつくRhodesサウンドは網羅しています。Electric 88で面白いなと思ったのはマイクとアンプの部分。コンデンサーマイクとダイナミックマイクの2種が用意されていますが、これとDriveつまみによるキャラクターの変化は非常に面白い。コンデンサーマイクの方は帯域が広く、ギラッとした部分もうまく表現されているので、インストものやソロなどにいい。ダイナミックの方はギュッと帯域が絞られる印象があって、歌ものの伴奏に合うような印象を持ちました。少し攻撃的な部分が薄くなるというか。このパラメータは追求したくなります。
Electric 200
Electric 200は名前からしても、ウーリッツァーの音源ですね。所有はしていませんし、スタジオなどで実機を演奏したことも3〜4回程度です。メンテナンスの具合によって左右されるとは思いますが、僕が実際に演奏したものはハンマーが弦を叩く音、ハンマーが落ちる音などのメカニカルノイズがすごく目立って聞こえてしまう個体で、ローズなどよりも弾きにくいな、という印象がありました。その点でWAVES Electric 200は、当たり前ですがメカニカルノイズの量を調整できますし、実際にMIDI鍵盤などで演奏をしてみても演奏がしやすく、音もいい。ウーリッツァーはローズに比べてもミドルに音がぎゅっと詰まっていて、上下の派手さはないものの、だからこそ歌もののバックには映える印象をもっています。Electric 200はそのキャラクターがしっかりありますね。古き良き時代のソウル、ファンクのメロウなフィーリングをちゃんと感じさせてくれます。
僕は自宅ではウェイテッド鍵盤を使用していますが、Piano & Keysに収録されている全ての音源に搭載されているVelocity Curve(編注:全てのプラグインの左端に搭載)がいい仕事をしています。音源によっても違いますが、Electric 200などはここを-12.0くらいの設定にしてあげると、より実機を演奏したときのような表現力を引き出すことができました。ここは人によって、あるいは使用するMIDIキーボードによって変わると思いますが、アクセスしやすい位置にこのつまみが用意されている辺りがニクいですね。ここをうまく調整して、各音源プラグインから最大の表現力を引き出してあげてください。
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