
音源付きで解説。Signature Seriesプラグイン 楽器別レビュー
著名エンジニア独自のワークフローとプラグインやアウトボードのチェインが一つのプラグインに集約され、シンプルなノブやつまみの操作だけで「あのエンジニアらしい」サウンドが作れるSignatureシリーズのプラグイン。
このページでは、Signatureシリーズに収録されているプラグインを、ボカロPとしても活躍するfrottageshi(せひうすP)さんがGuitar、Vocal、Bass、Drumsの楽器別に音源付きで解説しています。サンプル音源とともにお楽しみください!
2020.01.01
Vocal , ボーカル用のプラグイン
frottageshi(せひうすP)さん提供の参考曲「dacryphilia」(ボーカルトラックは未処理)

GregWells VoiceCentricはアデルやケイティ・ペリー、ワンリパブリック他多くの楽曲を手がけグラミー賞にもノミネートされるプロデューサー、グレッグ・ウェルズ(ミキシングエンジニア、ソングライターでもあり関わった作品の売上枚数は合わせて8500万枚以上!)とのコラボレーションによって作られたボーカル専用プラグインです。
このプラグインを参考曲として「dacryphilia」というオジリナルのVOCALOID曲に使ってみました。VOCALOIDは初音ミクを使用しています。まずは、ボーカルトラックをプロセスしていない、上のオリジナルを聞いてみて下さい。
プラグインの作りとしては非常にシンプル。INTENSITYという大きなノブひとつだけに見えますが、実は入ってきた信号にEQ、De-Esser、2種類のCompression(Fast CompressionとSlow Compression)という順で調整が施されていたりと内部で色々な事が起きています。耳で聞きながら「楽曲に合うところを探す」という作業に没頭できます。
INTENSITYを思い切り上げてもOUTPUTされる音量が増し増しになったりしないところにすごく安心感があります。もちろんCompressionはかかるし表情も変わっていきますが、プラグインをかけただけで著しく音量が上がってしまうということはありません。 ちなみに参考曲の初音ミクのVocalは調声の段階でベロシティをほとんどいじっていないため、元々ダイナミクスレンジが狭いです。なのであまり一本調子にならないようINTENSITYはつっこみ過ぎず中ほどで止めておくことにします。と、Sensitivity LEDがちょいちょい赤くなっているのでINPUTを-2.0にします(順番としては本来こちらが先でしたね…)。
今回はパラメーターを固定した状態にしましたが、曲によってはINTENSITYにオートメーションを書いたり、DELAYやREVERBをON/OFFしたりと微調整したい局面も出てくるかと思います。例えば曲の中で展開に合わせて細かく表情を変えていきたい時などですね。ちなみにこの時プラグインオートメーションをオンにしたパラメーターは該当の部分が赤くなってパっと見わかりやすく、直感的な音づくりに一役買っています。
ここまできたらあとはDELAY、DOUBLER、REVERBの調整ですね。今回はDELAYとDOUBLERを曲ナカでうっすら判るか判らないか程度にしておいてREVERBを多めにしてみます。Vocalの生々しさに少しオブラートをかけるくらいの気持ちで。上げ過ぎると主張がなくなっていってしまうのでさじ加減に気を付けつつVocalを他の音に馴染ませた、という感じでしょうか。といったところで「Save」をクリックして「Save To New File…」を選択。プリセットファイルを保存しました。 今回試してみた感想ですが、どういった曲に対して有効か、という点では曲調としては直球のポップス系の曲に活きてくると感じますね。ボカロ曲でいうとMikuPOPなどに適していると思います。意外とミクノポップ系の曲にも合うかもしれません。

Butch Vig Vocalsはニルバーナのプロデュースや自身のバンド、ガービッジでも知られるブッチ・ヴィグのサウンドを忠実に再現したプラグイン。ということで、昔『Smells Like Teen Spirit』が流れればところ構わずヘドバンかましていた私としては大変嬉しい逸品。 こちらに参考曲として「dacryphilia」というオジリナルのVOCALOID曲を使ってみました。VOCALOIDは初音ミクを使用しています。
もう何はなくともまずこのスチームパンク感溢れるビジュアルのインパクトたるやですよ。何なら曲作りの段階から無駄に立ち上げておいてもモチベーションが上がりそうな気がします。そしてそんな雰囲気の曲を書きたい(希望)。とはいえ曲は既に完成しているので。
プラグインのグラフィックって、直線的なスライダーであることがほとんどではないかと思うのですが、Butch Vig Vocalsは全て曲線のグラフィックになっているところがまた美しくて面白いです。あがります。 それにしてもなんともプリセットが潤沢ですね。これだけあるとプリセットのままで事足りてしまうような気もしますね…。 参考曲はロックテイストの曲なのでちょっと歪ませても良いかなと思うのですが、丁度良いことにButch Vig VocalsにはSATURATIONセクションとして「TUBE」と「SOLID STATE」という2種類の歪み系が備わっているので活用してみます。2種類の歪みを組み合わせてイメージに近づけていけるところは痒いところに手が届く感じで良いですね。 どういった曲に対して有効か、という点ではSATURATIONセクションをフル活用するような小人数のバンド編成のパンクとかロック系曲に有効なように思いますね。もしくはインダストリアル系も相性がよさそうです。ボカロ曲であればVOCAPUNKやボカログランジ、VOCALEAMO系に威力を発揮できそうです。意外とミクトロニカ系の曲にもはまるかも知れませんね。

CLA Vocalsはロックの王道サウンドを作り上げた第一人者、クリス・ロード・アルジのプロデュースによるボーカル専用プラグイン。グリーン・デイ、ナイン・インチ・ネイルズ、U2、フー・ファイターズなどビッグネームを数多く手がけてきたバックグラウンドがそのままプラグインになった製品です。こちらに参考曲として「dacryphilia」というオジリナルのVOCALOID曲を使ってみました。VOCALOIDは初音ミクを使用しています。
ボーカルにまつわる処理が全て行える オールインワン・プラグインなのですが珍しく(そうでもないですか?)PITCH(pitch moduration)を調整するフェーダーとボタンがあるので、これはぜひ活用したいところです。ボタンを押すごとにStereo、Wide、Spreaderと切り替わって広がり方が変化していきますね。いわゆるコーラスとかダブリングのような聞こえ方でしょうか。これを活かすなら音を詰め込んでいない編成のミドルテンポのロックに使いたいですね。ボーカルが力強いタイプの曲に適しているように感じます。 とはいえ参考曲のテンポがちょっと速めなので多少工夫を凝らしたいなと思います。DelayのRange設定をQUARTER(四分音符)にしてちょっとフェーダーを突く感じにしつつREVERBをは思い切ってMuteしてみたら広がりが出つつ存在感もある雰囲気にできました。王道のロックテイストの曲に使いたいところです。 ボカロ曲であればVOCAROCK、VOCAPUNKやボカロインダストリアル系の曲に威力を発揮できそうですね。

Eddie Kramer Vocal Channelはビートルズやジミ・ヘンドリックス、レッドツェッペリンなど、歴史に残るレコードを数多く手がけてきた伝説的なエンジニア、エディー・クレイマーの監修によるボーカルプラグインです。こちらに参考曲として「dacryphilia」というオジリナルのVOCALOID曲を使っていきたいと思います。VOCALOIDは初音ミクを使用しています。
最初に2つのVocalタイプ(フレーバー)のどちらにするかを選択する事になるの訳ですが、それがウインドウ左中央にあるVOCALS 1、VOCALS 2の2つのボタンですね。どちらを選ぶかでまたちょっと変わってきます。あ、VOCALS 2を選択した場合はDelayのツマミが使えなくなるのですね。なるほどなるほど。比べてみるとVOCALS 1は強さを押し出していてクラシックロックに向いていて、VOCALS 2はそれより柔らかな表現に向いている印象ですね。参考曲がロックよりのバンドサウンドになっていますのでVOCALS 1を選択してみようと思います。 インプットレベルをコントロールするSENSITIVITYのツマミと、入ってきた信号を圧縮するCOMPRESSのツマミをバランスよく調節してLEDが赤くならないようにします。この部分は結構シビアな調整が必要な印象を受けますね。 どういった曲に対して有効か、という点ではロック系、とりわけクラシックロック系の曲に威力を発揮しそうです。 ボカロ曲ではVOCAROCK、ボカロブルース系の曲に合いそうです。

JJP Vocalsはブラック・アイド・ピーズやグリーンデイ、ジョン・メイヤー他数多くのアーティストを手掛けてきたジャック・ジョセフ・プイグ監修によるプラグイン。こちらに参考曲として「dacryphilia」というオジリナルのVOCALOID曲を使っていきたいと思います。VOCALOIDは初音ミクを使用しています。
このプラグインは本当に曲者ですね。何が曲者っておおよそプラグインのパラメーターっぽくない見慣れないパラメーター名が散見しているところです。MAGIC、SPACE、ATTITUDEといった不思議なパラメーターでどういう変化が出てくるのか楽しみつつ参考曲に使っていきたいと思います。
初音ミクのボーカルはサ行の音が強く出過ぎてしまうのが気になる事があるので、DE-ESSERがあるのが個人的には嬉しいですね。ここを調整することで聴きざわりが良くなって全体をコントロールしやすくなります。下側中央にMALE、MALE2、FEMALEの3つのボタンがあります。参考曲では初音ミクに歌わせていますのでFEMALEを選択します。例えば他の男声のVOCALOIDを使った曲ならまずはMALEとMALE2でよりイメージに近いほうを選択していくと良さそうです。
どういった曲に対して有効か、という点ではソウル、R&B系からロック系の曲に使いたいところです。ボカロ曲ではVocaR&BやVOCAROCKに合いそうです。
コメント

Maserati VX1はビヨンセ、JAY-Z、アリシア・キーズなどを手がけるニューヨークのエンジニア、トニー・マセラティプロデュースによる、彼の「手法」そのものをプラグイン化した製品です。参考曲として「dacryphilia」というオジリナルのVOCALOID曲を使っていきたいと思います。VOCALOIDは初音ミクを使用しています。
VX1にはキャラクターの異なるCONTOUR1/2/3が用意されており、この曲はわりとテンポが速めなのでTYPEはCONTOUR3を選択してみました。小さな部屋で歌っている感じが曲の閉鎖的なイメージに合いそうです。 CONTOUR3はCONTOUR1、CONTOUR2と違ってCOMPRESSのツマミがAIRというツマミに変わるんですね。COMPRESSが0.1刻みで0から100のレンジがあるのに比べAIRは6段階というザックリした感じで潔さがあります。デフォルトの状態で通しただけでも輪郭がくっきりしつつ艶っぽい感じも出てきているのでそこから微調整して作りこんでいくのが良いでしょうかね。
参考曲の初音ミクのVocalは調声作業の段階でGEN(ジェンダーファクター)の数値を大きめに設定していて若干大人っぽい声にしているのですが、そういった曲や例えばVOCALOIDでも巡音ルカを使った曲などにもこのプラグインは効力を発揮しそうです。テンポ感としてはも個人的には速めの曲にCONTOUR3を使って、というのがお薦めですがスロー~ミドルテンポの曲でもこのプラグイン1つで十分に音作りが可能だと思います。
どういった曲に対して有効か、という点ではR&B系、ヒップホップ系の曲に使いたいところです。ボカロ曲ではVocaR&Bやミックホップ、ボカロラップ系の曲に合いそうですね。
Bass , ベース用のプラグイン
参考曲「WUMP-TEMP」オジリナル音源

アメリカン・ロックの王道サウンドそのものを作り上げたと言ってもいい、クリス・ロード・アルジによるベース用オールインワンプロセッサー、CLA Bass。同じく同氏が手がけたドラム用プラグイン、CLA Drumsをドラムに使用した曲に合わせてベースにインサートしてみました。
参考音源の原曲ではベースにアンプシミュレーターを使用して歪ませていましたが、これをバイパスした素の状態のベーストラックにCLA Bassを使っています。プラグインウインドウそのものが、ベースアンプのような見た目をしていますね。
パラメーターは6つ。BASS、TREBLE、COMPRESS、SUB、DISTORTION、PITCHです。それぞれのパラメーターにはボタンとフェーダーがあり、ボタンでレンジを選択し、フェーダーでその量を決める、という使い方のようですね。例えばBASSの場合、ボタンを押すたびにSUB→LOWER→UPPERと順に切り替わります。それぞれをアナライザーで確認してみると、SUBは60Hz以下、LOWERは125Hzあたり、UPPERは500Hzあたりに影響を与えているように見えます(厳密に調べたわけではありませんが)。このようにどのあたりに手を加えていくかを選んでからフェーダーで上げ下げすることで音作りをしていくように出来ているようですね。
で、この参考音源ではどれを選択するか。DiGiRECO記事のドラム編でもCLA Drumsを使っていて、ドラムの音が既に決まっていたので、このドラムと帯域などをうまくすみ分けていくことを前提に選んでいく必要があります。今回は”LOWER”を選択して、+6の設定にしました。
あっ。念のため申し上げると、各プラグインには多数のプリセットも用意されていて、その中から選ぶだでも十分な効果が発揮されると思いますが、今回は確認がてら、あえて1から作っていきたいと思います。
さて、BASSの隣にあるTREBLEですが、こちらもボタンを押すごとにHONK、BARK、CUTと影響する帯域が上にスライドしていくように感じます。高域も出したいのですが、CUTを選ぶとスネアと帯域が被ってしまう印象だったので、BARKを選んで+4の設定にしてみました。
“COMPRESS”はBASSやTREBLEと違って、ボタンを押すごとに変わるのは帯域ではなく、コンプのレシオが上がっていくような感じですかね。今回は潰しすぎないようにPUSHを選び、フェーダーは0の位置にしています。
“SUB” はBASSのパラメーターにもありましたが、さらにオクターブ下くらいを補強するような感じでしょうか。オンにして+3にしてみます。なんだかここまでずっと「足し算」的な音作りになっていますが、もちろんオフにしてみたり、マイナス側にしてみたりの「引き算」もできますので、この辺はどうぞ反面教師に……。
次は ”DISTORTION” です。ボタンはGROWL、ROAR、RIPの3つで、順番に歪みが強くなっていきますね。ここまで作ってきた雰囲気だと、もうそれほど歪ませなくてもいいかなと思い始めてしまったので、歪みの弱いGROWLでフェーダーは0の位置にしてみました。
最後の ”PITCH” はピッチモジュレーションですね。ボタンとフェーダーの組み合わせで、順に広がりが大きくなっていきますが、今回はこれは使わずMUTEにします。あえて使わない勇気。レビューとはいえ大事な決断です。
これにて音作りは完了。CLA Bassは幅広いジャンルに使えそうだなという印象を感じました。特に”SUB”と”DISTORTION”が重要な役割を担っていると思います。ボカロ曲で使うなら、”SUB”を活かしてVocaR&Bやミクトロニカ、”DISTORTION”を活かしてVOCAROCKなどに威力を発揮してくれそうだなと感じました。

歴史に残るレコード、ビートルズやレッド・ツェッペリン、ジミ・ヘンドリクスのレコードを手がけた生きる伝説ともいえるエンジニア、エディ・クレイマーによるベース用オールインワンプロセッサー、EK Bass。エディ・クレイマーらしい中低域に特徴を持たせ、プレゼンスたっぷりのファットなサウンド、ボリュームを絞った小さなスピーカーでもクリアに聞こえるベースサウンドを主眼に作られているように感じました。同じく同氏が手がけたEddie Kramer Drum Channelを使った曲に合わせてベースにインサートしてみました。
グラフィックはシンプルにできていて、音作りに関わってくるのはBASSのタイプを選ぶ2つのボタン(BASS1・BASS2)と5つのツマミ(SENSITIVITY、BASS、TREBLE、COMPRESS、OUTPUT)、あとはレベルを表示するINとOUTの切り替えスイッチのみです。
最初にタイプを選びます。マニュアルによれば ”BASS1” はコンプレッションが控えめでよりダイナミックなサウンド。”BASS2” はコンプレッションを増やしたアグレッシブなサウンドとのこと。実際に”BASS1”、”BASS2” を切り替えると、その時点ですでに音が作り込まれている状態であると気づきます。BASS1/BASS2がそれぞれ「プリセット」という見かたもできますね。この切り替えでコンプやアウトプットも”COMPRESS1”、”COMPRESS2” 等と切り替わります。
特にCOMPRESSは1と2で顕著にコンプ感が変わってきて、1はあっさりめ、2はキツめです。”BASS1” を選んだときはTREBLEがデフォルトでMAXなところは格好いいですね。こういうところ、好きです。
今回はアグレッシブにしてみたいので”BASS2”を選択してみます。ほぼデフォルトの状態でイイ感じなのですが、SENSITIVITYのLEDをみるとまだ余裕がありそうな感じだったので、赤がつく寸前の+9まで、思い切って突っ込んでみました。オケと混ぜて聞いてみるとTREBLEももう少し欲しいなと感じたので、ぐっと上げています。
ベースサウンドをアグレッシブにしたいときも、ダイナミクスを生かしたいときにも両方のシーンで直感的に使えるプラグインであるという印象ですね。直球のポップス系の曲のときに活きてくると思います。ボカロ曲ならMikuPOPなどにぴったりですね。

JJP Bassはブラック・アイド・ピーズやグリーンデイ、ジョン・メイヤーほか数多くのアーティストを手がけてきたジャック・ジョセフ・プイグによるベース用オールインワンプロセッサーチェイン。今回は同氏が手がけたドラム用プラグイン、JJP DrumsとJJP Cymbals & Percussionsを使用したドラムトラックに合わせ、ベーストラックにインサートしています。
このプラグインは、まずベースのタイプをウインドウ下の3つのボタンから選びます。DI、AMP、SYNTHの3つです。DI経由で録音したベースならDIを、アンプを鳴らしマイクで録ったベースならAMPを、打ち込みのベースならSYNTHを選ぶのが基本的な手順といったところでしょうか。それぞれのボタンを押したデフォルトの状態である程度音作りがされているので、ここだけでも如実に音が変わりますね。今回の参考曲のベースは打ち込みのベースでしたが、あえて ”DI”タイプのボタンを選んでみようと思います。選んだあとは、LEDが黄色になるくらいにSENSをあげてみます。
音作りのキモになるのはウインドウ中央にある”EDGE”、”ATTACK”、”SUB”、”PRSNCE”、”LENGTH” の5つのフェーダーですね。EDGEは歪みを加える役割、ATTACKはゲート、SUBはEQ的なローよりももっと低いところの加減、PRSNCEはEQ的なハイよりも上を加減するようですね。調整するときはフェーダー上にあるボタンで随時オン・オフできるので、プラグインによる効果がどれくらいか、比較することもできます。
今回は”SUB”のフェーダーを使って、重低音を加えていきたいと思います。このSUBというパラメーター、ベースだけでなくドラムのキックなどにかけたりしてサウンドメイクも面白そう。参考曲ではドラムのキックを「アタック重視」で作ったので、ベースはSUBを使った重低音でうまくローエンドを補うことができると感じました。
上にも書いた通り、ベースはもちろんですがドラムにかけても面白いプラグインだなと思います。EDMなどでサブベースを活用する曲に役立ちそうです。ボカロ曲でいうとミクノポップ、VocaR&B、ミクトロニカに適していると思います。

Maserati B72はレディ・ガガ、ビヨンセ、Jay-Zなどを手がけてきた、アメリカ東海岸のヒップホップやR&Bの代表的なエンジニア、トニー・マセラティによって生まれたベース用のオールインワン・プロセッサーチェインです。今回は同氏が手がけたドラム用プラグイン、Maserati DRMを使用したドラムトラックに合わせ、ベーストラックにインサートしています。
最初にセレクトするのは、BASS TYPE。DIまたはSYNTHのどちらかを選びます。トニー・マセラティ本人によれば「エレクトリックベースかアコースティックベースの場合は “DI” を推奨」とのこと。それ以外の場合、たとえばソフトシンセなどであれば基本的に “SYNTH” を選ぶといいでしょう。
ここで注意したいのは、DIまたはSYNTHのタイプによって、プラグインの中身が大きく変わってくる部分があるという点。DIの時にはシンプルなパラメーターのみですが、SYNTHを選んだときにはFX、TONE、FX OUTのツマミとINSERT/SENDのスイッチが有効になります。この違いは大きいですね。特にTONEはユニークな効果を得ることができるパラメーターです。マニュアルによればbuzziness(ブンブンいう感じ?)をコントロールする部分とのこと。
プリセットも豊富で充実していますが、せっかくなのでBASS TYPEを”SYNTH” にして少し冒険した感じにしてみようと思います。まずはSignatureシリーズで大切なインプットセンスの調整、SENSITIVITYでLEDが黄色になるくらいまで上げます。FXは0、FX OUTはMAXに。TONEのオートメーションをONにして、2小節周期でうごめくようなオートメーションを書いてみました。アウトプットボリュームで全体のバランスを取っています。
選択するTYPEによってスタンダードな音作りと飛び道具的な音作りの2通りの使い方ができるプラグインだと感じました。曲調もスタンダードなポップス、ロック、エレクトロニカと幅広く活かせると感じます。ボカロ曲ならMukuPOP、VOCAROCK、ミクトロニカなどに適していると思いました。
Drums , ドラム用のプラグイン
DiGiRECO3月号誌面連動企画
Signature Bass & Drums Collectionのドラム用プラグインを、せひうすPさんが音源付きで徹底解説!
DiGiRECO 3月号に掲載された、せひうすPさんの実用的な解説をこちらからダウンロード、このページの音源でプラグインの効果を実際にお確かめ頂けます。
参考曲「WUMP-TEMP」オジリナル音源
Guitar , ギター用のプラグイン
DiGiRECO 4月号誌面連動企画
Signatureシリーズのギター用プラグインを、せひうすPさんが音源付きで徹底解説!
せひうすPさんの実用的な解説を読みながら、音源でプラグインの効果を実際にお確かめ頂けます。
参考曲「dacryphilia」オジリナル音源(ギタートラックは未処理)
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