Wavesリミッター・プラグインのフラッグシップL316を知る!
数あるWaves製品の中でも人気のLシリーズのリミッター・プラグイン、今回はそのフラッグシップであるL316をご紹介します。
まずざっくりとL316の特徴を上げてみましょう。
2020.01.01

- 16バンドのマルチバンド・リミッティング
- 「プライオリティ」による帯域別のバランス調整が可能
- 豊富なARCキャラクターによる高度なリリース・コントロール
- パラグラフィックEQスタイルによるシンプルな操作性
さらにL316は、L3 MultimaximizerとL3-LL Multimazimizerも含むバンドルでもあります。
似た名前のリミッターが3機種もバンドルされているけど、何が違うのか?L3とL3LLを少し比較してみます。

L3: シングル/5マルチ・バンド、ARCを元にリリースの帯域別調整が可能、従来のマルチバンド・コンプに近い操作感覚。

L3-LL: シングル/5マルチ・バンド、LL(Low Latency)が示すとおり、非常に低いレイテンシー(64サンプル!)、L3に準拠した操作性。
L3がマスター・トラックでの使用を想定しているのに対し、L3-LLは個々のトラックでも使える、 という違いですね。ドラムのステムや、ストリングスのアンサンブルなどにいかがでしょうか。
リミッター・セクション

少し話しがそれてしまいましたが、L316に戻りましょう。まず、プラグイン画面左上がリミッター全体のスレッショルド、シーリングを設定するセクションとなります。Lシリーズではお馴染みですね。そしてリミッティング量を表示する「Atten」メータが続きます。
次に画面右側のセクション。L316のバンド構成は、L3の5バンドに較べ16と、3倍以上になっています。しかし、インターフェース自体は複雑なものではなく、むしろL3よりもすっきりとした印象になっています。


16のバンドを別々に操作/設定する、という煩雑さを解消すべく、L316では6バンド・パラグラフィックEQをオーバーレイ(重ねる)することで帯域調整する方法を採用しています。実際のところ、この裏側ではシグナルが16の帯域に分割され、このEQを元に処理されている、というわけです。
パラメータも非常にシンプルになっており、Gain、Freq、Q、フィルター・タイプ(シェルビング/ベル)と、EQを操作するのとほぼ同じ感覚で操作が行えます。
では、続いてL316のキャラクターを決定づけているプライオリティとARCについて。
プライオリティ
このパラメータは、 L3 Multimaximizerのそれと同じく、帯域別スレッショルドの「優先度」を決定する値です。
リミッター全体のスレッショルドを一定に保つために、一つの帯域のプライオリティを上げると、その帯域のスレッショルドが上がり、他の帯域に較べてリミッティング量は小さくなります。しかし反面、他の帯域のスレッショルドは下がり、リミッティング量は大きくなります。
例えばベースやキックなどにリミッティングが集中してしまう場合、 その帯域のプライオリティを上げることで、リミッティングを抑え、替わりに他のダイナミクスに余裕のある帯域のリミッティング量を増やす、といったバランス調整が可能になります。
プライオリティの値はゲインと連動して増減できるので、高域のゲインとプライオリティを同時に上げて、高域の存在感を増しつつリミッティングの集中は避ける、といった使い方も出来ますね。
ARC(Auto Release Control)
L316とL3/L3LLの大きな違いの一つにARCと呼ばれるWaves独自のリリース・コントロール・エンジンの刷新が挙げられます。従来のL3では、個々のバンドにReleaseのパラメータが備わり、Master Releaseコントロールで全体のキャラクターを決定する、といった構成を取っていました。
しかし、前述の通りL316では16バンドという膨大な数のバンドを一度に処理する関係上、個別のリリース調整は作業効率を大幅に下げてしまうことになります。そこで設定されたリリース・キャラクターに沿って、帯域別リリース・コントロールをARCが一任、全体のリリースはReleaseフェーダーで調整する、という形に変更されています。結果としてよりシンプルな操作でリリースの調整を行うことが可能になりました。
リリース・キャラクター
L316の画面左から、Release Characterを選択するリストにアクセスできます。ご覧の通り20種を超える豊富なキャラクターが用意されており、プリセット名からおおよその特性が分かるようになっています。実はここで選択するリリースキャラクターによって、L316全体の音も大きく変化するので、素材に合わせて色々と実験してみることをお薦めします。
深くリミッティングがかかるに従ってそれぞれのリリースのキャラクターが顕著になるので、スレッショルドを低めにして、リリースを切り替えてみると分かりやすいですよ。
リリース・フェーダー
このフェーダーはARC全体のリリース長短を比率で調整します。x1.0がデフォルトの値となり、最大x10.0、最小x0.1の範囲でリリースをコントロールすることが出来ます。
セパレーション
リリース・キャラクターの右にあるこのパラメータでは、16個ある帯域を分けるクロスオーバー・フィルターのQをLow、Medium、Highから選択することができます。これによって、各バンドの処理が どの程度他のバンドとオーバーラップするか、を調整できるわけです。素材によっては、セパレーションを下げることでバンド間のリダクション量を馴らして、より不自然さのないリミッティングを行うことが出来るでしょう。
大まかにL316の機能をご紹介させていただきましたが、L316はバックグラウンドで行われている複雑な処理を意識させない、非常にシンプルな操作感を備えたプラグインとなっています。
Waves製品の例に漏れず、L316もデモ試用版をご利用いただけますので、興味を持たれた方は、Waves製品ページからデモバージョン・ライセンスをお試しください。事前にWavesアカウントの取得(無償)が必須となりますのでご注意を。
プロモーション
人気記事
リズム隊のミックスTips! – Vol 4 タム&トップマイク編
ここまでキック、スネア、ハイハットと来ました「リズム隊のミックスTips」。本日はタム編とトップマイク編。いずれもドラム音源にBFD3を使用していますが、他のドラム音源や実際のドラムレコーディングでも参考にな
リズム隊のミックスTips! – Vol.7 ギター前編
「リズム隊のミックスTips」。今回はギター前編です。
もう部屋鳴りに悩まない。AIが不要な反響音を除去〜Clarity Vx DeReverb〜
ナレーションやボーカルを録音した際に、部屋の響きで言葉が聞き取りにくかったり、「部屋鳴り感」が強く出て映像や楽曲となじまなかった…そんな経験はありませんか?レコーディングスタジオのように本格的な吸音処
客観的なイコライジングを元に「正解の音」に近づける 〜新世代イコライザー Curves AQ 〜
イコライジングで難しいのは「どこまでいじれば正解なのか」がわからないこと。自分の耳を信じるのは大事だけれど、仕上がりに自信が持てず、客観的な基準が欲しいと感じる瞬間は誰にでもあるはず。そんな悩みを解決
ロックやポップスにも使いやすいコスパも優秀なWavesのベース音源「Bass Fingers」と「Bass Slapper」をレビュー!
Wavesといえば、プロ御用達のミックス・マスタリングプラグインを販売するメーカーというイメージが強いですが、シンセや楽器のインストゥルメントプラグインもリリースされています。今回、ご紹介する「Waves Bass
自宅でドラムを録音する方法#2: マイクの選択と配置
ドラムの様々なマイクオプションのサウンドを聴き、様々なマイク配置とダンパーオプションの組み合わせが、最終的なドラム録音の音色にどのような影響を与えるかを学びましょう。
人気製品
Abbey Road RS124 Compressor
まさにアビー・ロード・スタジオで行われた、ビートルズの全てのレコーディングで聴けるトーンを。2つの異なる「フレーバー」を選択できるこのクラシックな真空管コンプレッサープラグインは、アビー・ロード・スタ
CLA BASS
Waves Artist Signature Seriesは、世界のトッププロデューサー、エンジニアとのコラボレーションにより生まれた目的別プロセッサーシリーズです。全てのSignatureシリーズプラグインは、アーティストの個性的なサウ
Berzerk Distortion
ワイルド、クレイジー、クリエイティブなディストーションのための強力なプラグイン。全10種類オリジナルのディストーション波形、アドバンスドフィードバック、ピッチ、ダイナミクス、サイドチェイン、M/Sプロセッ
CLA-2A
伝説的なエレクトロ・オプティカル(電気光学式)チューブコンプレッサーをモデリングしたCLA-2Aは、世界中のエンジニアのお気に入りとなった、オリジナルのスムースで周波数追従型の動作を再現しています。60年代中
CLA Vocals
Waves Artist Signature Seriesは、世界のトッププロデューサー、エンジニアとのコラボレーションにより生まれた目的別プロセッサーシリーズです。全てのSignatureシリーズプラグインは、アーティストの個性的なサウ
COSMOS
COSMOSは、あなたのハードディスクにあるすべてのワンショットやループを、検索しやすく一括管理。すべてのサンプルを楽器の種類別、キー、BPMなどの音の特徴ごとに分析し、自動的にタグ付けが可能。欲しいサンプル
Curves Equator
Wavesは30年間にわたりEQを設計してきました。しかし、もっと正確で、もっとパワフルで、もっと効率的で、さらに楽しいEQがあったらどうでしょう?近年、スタジオのテクノロジーとワークフローのほとんどすべての面
CR8
Waves CR8 Samplerは非常にパワフルで使いやすいサンプラーです。クリエイターにとって「美味しい」サウンドをすばやく生み出すことができます。 サンプラーの中には、機能は豊富でも操作が複雑で理想の音にたどり着