検索
弱々しいスネアをリッチな音へ

弱々しいスネアをリッチな音へ

ミックスの中で場所が定まらず、重みやインパクトのあるフレーバーが足りないスネア。 録音や提供されたサウンドが素材として何か物足りない。こんな問題を解決する4つのヒントをご紹介します。

スネアドラムの音が、鉛筆でタンバリンを叩いたような音になってしまっている場合、そのスネアドラムではミックスするにあたり心許ないと感じてしまうでしょう。 スネアドラムはキックドラムのように太くする必要はありませんが、インパクトのある音を出す必要があります。
トランジェント・シェイピング、サチュレーション、パラレル・コンプレッション、イコライザーを使用することで理想の音に近づけることができます。

2021.07.08

1. トランジェント・シェイパーを使おう

スネアドラムの音が薄く感じてしまうのは、録音した波形のテールエンドが早く減衰してしまうことが原因です。そこで、Smack Attackのようなトランジェント・シェイパーを使って、オーディオ信号のサスティンのレベルを上げてみましょう。これにより、トラック内でのスネアの「質感」が長くなるはずです。

スネアにフロントエンドの「パンチ」が必要な場合は、アタックを上げると良いでしょう。スネアの音が鋭くなりすぎてしまう場合は、Smack Attackのアタックレベルを下げてから、スネアのトラック全体のレベルを上げてみてください。

2. 歪みを加える

サチュレーションとディストーションは、スネアのハーモニック・ストラクチャーを強化することができますが、望ましいトランジェント情報を殺してしまわないように注意してください。サチュレーターは、歪みに加えてオーディオ信号に圧縮をかけますが、これがトランジェントの損失の原因となります。しかし、J37 Tapeでテープ・サチュレーションを適度にかけると、スネアがスピーカーからきれいに「はねる」ようになります。

よりアグレッシブな効果を求めるなら、PRS SuperModelsGTR3に搭載されているギターアンプ・エミュレーションでスネアを鳴らしてみましょう。クリエイティブな気分になったら、Berzerk Distortionをスネアにかけてみるのもいいかもしれません。

3. パラレル・コンプレッションを使う

スネアにパラレル・コンプレッションを適用するには、スネアの録音を複製したトラックを作成し、それを大きく圧縮して、元の処理されていない信号と混ぜ合わせます。このミキシング・テクニックを使うことで、スネアの音にメリハリをつけることができます。

CLA-76 Compressor/Limiterのような超高速アタックのコンプレッサーを使い、高速アタックでピーク圧縮をかけます。リリースの設定をいろいろと試してみて、自分に合うものを見つけてください。レシオを4:1以上にすると、約10dBのゲインリダクションを得ることができます。CLA-76の出力レベルを、スネアのサウンドが「十分な質量」になるまでゆっくりと上げていきます。

4. EQによる全体的なトーン・シェイピング

ここまでの作業は、スネアをより大きく、より激しくするためのものでした。このままではスネアが目立ちすぎてしまう可能性があるので、しっかりオケに馴染ませる必要があります。

Waves Q10のようなEQで、60~80Hz付近に緩やかなハイパスフィルターをかけると、マッドさを抑えることができスッキリ聞こえるようになるでしょう。また、100〜200Hz付近では、緩やかなベル・フィルターで "ボディ "をブーストまたはカットすることができ、200〜400Hz付近では "ウォーム "をコントロールすることができます。厚みのあるスネアにスナップを効かせたい場合は、ナローベル・フィルターで2,000Hz付近をブーストしてみましょう。


いかがだったでしょうか。
今回学んだことを活かせば、しっかりとしたスネアを響かせることができそうですね。 さぁデスクに向かってミックスを始めましょう!

プロモーション

人気記事

ギターとドラムのミックスを秒で解決するWAVESシグネチャーシリーズ【CLA & Eddie Kramer編】
ギターとドラムのミックスを秒で解決するWAVESシグネチャーシリーズ【CLA & Eddie Kramer編】

スタッフEbです。ロックの楽曲をミックスするとき、熱いギターサウンドとパワフルなドラムを表現するために、プラグインをいろいろと試行錯誤しています。「ロックギターやドラムに特化された専用のプラグインがあれ

トップエンジニアからの金言。ミキシングのTips
トップエンジニアからの金言。ミキシングのTips

今日は世界一級のエンジニアが送るミキシングのTipsですが、具体的なTips(例えば、EQやコンプをこんな風にセッティングするとか)は1つもありません。しかし、ミックスをするにあたりとても大事なことが数多く含ま

DiGiGrid DLS導入レポート – 鈴木Daichi秀行
DiGiGrid DLS導入レポート – 鈴木Daichi秀行

2013年のNAMMショーで発表され、ネットワークで自由にI/Oを拡張でき、Wavesプラグインが超低レイテンシーで使えるソリューションとして注目を集めてきたDiGiGrid製品ですが、2014年10月、ここ日本でもPro Tools向け

DiGiGridで制作の全てが変わった:OM Factoryセミナー(その3)
DiGiGridで制作の全てが変わった:OM Factoryセミナー(その3)

前回、前々回に引き続き、OMFACTORY大島su-kei氏によるプレミアムなDiGiGridセミナーを映像化したものをお届け。話題は多くのユーザーが気にするべき、CPUネイティブ環境・最大の欠点からスタートする。

リズム隊のミックスTips! – Vol 2 キック処理編
リズム隊のミックスTips! – Vol 2 キック処理編

オフィスオーガスタ佐藤洋介さんによる「リズム隊のミックスTips」。今回はキック編のご紹介です。

リズム隊のミックスTips! – Vol.8 トラックダウン編
リズム隊のミックスTips! – Vol.8 トラックダウン編

おかげさまで好評連載中の「リズム隊のミックスTips」。ここまでドラム、ベース、ギターと各楽器を処理する手順をご紹介して参りましたが、今回はいよいよファイナルとなる「ミックスダウン編」です。

人気製品

Ultimate
Abbey Road RS124 Compressor
Abbey Road RS124 Compressor

まさにアビー・ロード・スタジオで行われた、ビートルズの全てのレコーディングで聴けるトーンを。2つの異なる「フレーバー」を選択できるこのクラシックな真空管コンプレッサープラグインは、アビー・ロード・スタ

Ultimate
Aphex Vintage Aural Exciter
Aphex Vintage Aural Exciter

Aphex Vintage Aural Exciterプラグインは、ジャクソン・ブラウン、リンダ・ロンシュタット、ジェイムス・テイラーを初めとする多くのアルバムを手がけ、オリジナルのAural Exciterを知り尽くしたエンジニア、Val Ga

Ultimate
API 560
API 560

ブースト/カット量でQ幅を自動調整するAPI独自のプロポーショナルEQを搭載、精密な処理とアナログ感を兼ね備えたグラフィックEQ

Ultimate
Brauer Motion
Brauer Motion

いくつものグラミー賞を重ねてきたミキシング・エンジニア、マイケル・ブラウアーほど、ミックスにエモーショナルな動きを加えることに長けた人物は多くありません。コールド・プレイ、ジョンメイヤー、ジェイムス・

Ultimate
C6 Multiband Compressor
C6 Multiband Compressor

何年にもわたり、Waves C4は世界中のスタジオエンジニアのお気に入りプラグインでした。今や、ライブサウンドの現場においても必須となっています。

Ultimate
BSS DPR-402
BSS DPR-402

12のモードを組み合わせて多彩なダイナミクス処理が可能 BSS® DPR-402ダイナミクス・プロセッサーは、そのパンチ感と多様な用途に対応する万能さから、長きにわたりスタジオ、ライブ、ブロードキャストの現場でエン

Ultimate
Essential
CLA-76
CLA-76

CLA-76 Blacky / Bluey は、60年代半ばに発売されたクラスAラインレベルリミッターアンプの異なる2つのバージョンにインスパイアされています。"Blacky"と"Bluey"の両バージョンも、オリジナル機と同様にスタジ

Ultimate
L3-16 Multimaximizer
L3-16 Multimaximizer

Wavesが最初に作り上げたマキシマイザL1 Ultramaximizerは世界中のミキシングとマスタリングに革命をもたらしました。続くL2 Ultramaximizerがもたらしたサウンドは、いまでも世界中のヒットレコードやメジャーな映

Products
Promotion
Solution
Contents
Support
Company
Instagram YouTube