WAVES シングルプラグインピックアップ:Center
ミックスは「LとR」の他にもっと使えるスペースがある?
一歩進んだミックスやマスタリングの手法を学ぼうとすると、おそらく「M/S処理」という単語にたどり着くことでしょう。L(左)とR(右)のステレオとは異なり、音声をM(中央・ミドル)とS(横・サイド)に切り分けて処理を行い、中高域にはステレオ幅以上の広がりを与えたり、低域にはギュッと締めたりといった処理ができるようになります。 今やこのM/S処理ができるプラグインは珍しいものではなくなりましたが「数クリックで」できる製品はほとんどありません。 もっと直感的に広がりと締まりを演出できて、かつM/S以上の特別な処理を背後で行ってくれるツール、それがWAVESのCenterです。Centerなら、どんな方でも「10秒で」高域を広げる、低域を締める、キックとベースにパンチを出す、の作業ができます。10秒です。2022.01.31
「LとR」の他って?
気鋭のクリエイター、tofubeatsさんによる連載企画「Production & Mix with WAVES」にて、マスタリング時の音像と音量のイメージをこんな図で表されていたものがあります。
青色の三角形が音像のイメージですが、一般的なステレオ処理だけをしていると、この青の右上/左上あたりにはなかなか音を配置させることができず、M/S系のツールを使って広げ、キラキラした成分を配置させてあげることで大きな広がりが得られるとのこと。
(実は裏で)M/S以上のことをしています
Wavesからリリースされている"Center"。入力された音をステレオではなく、Center(センター)とSides(サイド)に切り分けて処理を行うプラグイン。ウェブ上で見かける多くのレビューでは「WavesのM/S処理プラグイン」と紹介頂くことが多く、それはそれで間違ってはいないのですが(実は裏で)M/S処理以上のことをしているプラグインなのです。
一般的なM/S処理は...
一般的なM/S処理は、入力された音を「機械的に」M(ミドル)とS(サイド)に切り分けます。「機械的に」と書いたのは、素材が何であれ切り分ける条件が一緒だからということ。通常のステレオと一般的なM/Sのイメージ画像を並べると、こんな感じでしょうか。
じゃあCenterは?
Centerも音としてはM/Sと似たように音が中央と横に切り分けられるのですが、「切り分け方」が単なるM/Sとは異なり、入力された音のエンベロープを読み込みながら切り分けをしているということ。イメージ的にはこんな感じ。
機械的なM/Sの切り分けとは異なり、時間軸の変化を読み込むことで、「高域/低域のバランスをどちらに振るか」や「パンチ感をどちらに持たせるか」でさえコントロールできるのです。なので、
- キックやスネアのパンチ感を出すため、Centerに「Punch」を加える
- サイドに広がるシンセの煌びやかさをより強調するため「High」の成分をSides寄りにする
- ローエンドをギュッとタイトに引き締めるため、Center寄りに「Low」を振る
なんて処理が、たった2本のスライダーと3つのツマミでできます。M/S処理ならではの空間の広がりだけでなく、高域・低域・パンチ感を左右に振り分けるため、L/R以上の空間を生かしたミックスをすることができるのです。
Centerはマスターに使うのが最も分かりやすく効果的ですが、例えばド派手に広がったシンセベースのトラックに使って広がり&締まりを作り込んだり、ドラムループトラックに使って自分好みの音像にしあげたり、コーラスをまとめたバストラックに使って主役ボーカルの場所をあけつつ、存在感のあるワイドコーラスを作ったりなど、どこへ使ってもOK。アーティスト、エンジニアなどの使いこなしを真似して、ステレオイメージの捉え方を養いましょう!
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