「グランド・マスター」バンドル?
世界中のプラグインデベロッパーの中でも、製品数において最大数を持っているブランドといえば、やはりWAVESです(それゆえ、営業スタッフである私たちはなかなか説明にも苦労があるのですが…それはさておき)。
そのため「え?そんなバンドル名あったっけ?」と、取引先やユーザーの方に言われる事もあるのですが、今回はそんな事をときどき言われるバンドルのひとつ、Grand Masters Collectionについてご紹介します。
2020.01.01
Grand Masters以前にあったマスタリング用バンドル
スタッフHです。
数年前までWAVESの「マスタリング用ツール・バンドル」といえば、Masters Bundleという製品でした(現行です)。これには、リニアフェイズ処理のEQとマルチバンドコンプ(Linear Phase EQ、Linear Phase Multiband Comp)に加えて、マスターリミッターのL2を加えた3つのプラグインが収録されています。
もちろんこれで不足があるわけではありません。リニアフェイズEQで位相崩れのない補正を行い、リニアフェイズのマルチバンドコンプで、帯域別にクリーンなダイナミクス処理をする。最後にピークリミッティングと音圧の調整でL2を使用する。ミックスの段階で丁寧な処理が施されていれば、この3つだけで十分な処理ができるのではないでしょうか。
このMasters Bundleは今日までロングランの定番製品となっています。
一歩進んだGrand Masters Collection
そのMasters Bundleに収録された3製品を全て収録し、さらに最新のツールを追加したバンドルが、Grand Masters Collectionです。グランド!というあたりに気合いを感じて頂ければと思います。総数で12個のプラグインを収録。
L3 MultimaximizerとL3-16を収録
L2に加えて、Lシリーズの後発プラグインとなるL3(Ultra/Multi)と、L3-16を収録。
単なるMS処理とは異なる、素材のエンベロープを検知するプロセッサ、Centerを収録
素材をLとRではなく、M(Mid)とS(Side)に切り分けて処理をするツールがここ数年で一気に各社からリリースされていますが、WAVESのCenterはそのさらに先を行くCenterを数年前にリリースしています。
シンプルな2フェーダーで、従来のMS処理のようなバランス再構築ができるだけではなく、「左右に広がってしまったパンチ感をもっとセンターに寄せたい」とか「ハイのキラキラした部分を、左右に広げたい」、あるいは「図太いローエンドをセンターに僅かに寄せたい」という事までできてしまう(ある種魔法のような)ツール。素材の周波数、タイムエンベロープを分析・検知しているからこそできるプラグインなのです。
ビンテージフレーバーを加味する、V-Seriesを収録。
ミックバランス(トラックダウン)も良くできた。左右の広がりも満足のできばえ。でも「あとひと味」が足りない。
そういった際に活用して頂きたいのが、伝統のNeveモジュールをモデリングしたV-Seriesの出番です。EQ(3バンド、4バンド)とコンプの3つのプロセッサーを用意。
これらは各チャンネルで積極的なサウンドメイキングにも使えますが、マスターチャンネルに使用しても効果的。しかし、マスターチャンネルに使用するときには「控えめに」「ごく僅かに」使うことがよいと思います。
このほか、世界最高のメンテナンスが施されたビンテージPulteqのEQP-1AとMEQをモデリングしたPuigTeq EQも収録。
WAVESならではの他に類をみないプロセッサー、Maxx Volume
私たちの(この)スタッフブログ、ごくまれに大反響を頂く記事がポストされる事があるのですが、その中でも1、2を争う反響を頂いた、こんな記事があります。
「音量の大きなところ」には一切なにもせず、「音量の小さなところだけを自然に持ち上げる」。一般的なコンプやリミッターでは絶対にできない処理について解説したものです。
この記事で登場したMV2の「親玉」にあたるのが、Grand Mastersに収録されているMaxx Volumeです。個人的には非情に「名前で損をしているなぁ」と思う製品(だって"マックスボリューム"ってなんだか高音圧至上主義みたいに見えませんか?)。
MaxxVolumeは、上記記事のMV2の機能に加え、より細かいパラメータにアクセスできるようになっているもの。
ミックスのバランスはよく仕上がっている。程よく音圧を稼ぎたいだけなのに、コンプやリミッターに通してみると、音量の大きめなドラムやベースばかりにリミッターが引っかかってしまい、欲しい音圧になるころにはもうミックスバランスまで崩れてしまう。そんな時に、MaxxVolumeをマスターリミッターの前にはさみ、ごくごく僅かな処理を施してあげることで、マスターコンプやリミッターをより自然に、最高の仕上げとなるように導いてくれます。
世界最高のメーターとの共同開発、Dorrough Stereoを収録
最後に、Grand Masters CollectionにはDorrough Stereoメーターを収録。これはDorrough Electronics社(世界でも信頼あるハードウェアのメーター製作ブランド)との共同開発製品。精細なマスターチェックに欠かせないツールでしょう。
と、ここまでご紹介してきた12個のプラグインを収録したGrand Masters Collection。個別のトラック処理には十分なプラグインが揃っている、しかし、マスター段での処理により正確で、よりハイクオリティな処理を行いたいという方におすすめのバンドルパッケージです。
人気記事
プロの第一歩を踏み出すチャンネルストリップ Waves AudioTrack
イコライザー(EQ)とダイナミクス系エフェクトが1つに収められた「チャンネルストリップ」。スピードが求められるプロの現場で多用されている便利ツールです。チャンネルストリップは複数の処理がまとめられた便利さ
リズム隊のミックスTips! – Vol 5 ドラムバスミックス編
いよいよリズム隊のミックスTips ドラム編もラスト。今回はドラムを1つのバスにまとめたバスミックス編です。
リズム隊のミックスTips! – Vol.7 ギター後編
前回のギター前編に続き、今回はギター後編をご紹介。ムービー前半はメロディーラインのようなアルペジオの処理、後半は「歪んだギターの壁の作り方」ステップの解説となっています。
ローエンド強化のプラグイン4つの適切な選び方
太くタイトなローエンドを得ることはミキシングにおける非常に重要な課題ですが、その秘訣は正しいツールを選択することにあります。4種類の異なるベース/サブ・プラグイン(Submarine, LoAir, R-BassとMaxxBass)
リズム隊のミックスTips! – Vol 1イントロダクション
MixがうまくなるTipsのMIオリジナル企画。当社ウェブサイトでもたくさんのレビューをしてくださっているオフィスオーガスタの佐藤洋介さんに学ぶ、リズム隊(ドラム・ベース・リズムギター)のミックスTipsムービー
エレクトロ楽曲などに必須のダッキングは OneKnob Pumper で! - Waves Genius
人気製品
Aphex Vintage Aural Exciter
Aphex Vintage Aural Exciterプラグインは、ジャクソン・ブラウン、リンダ・ロンシュタット、ジェイムス・テイラーを初めとする多くのアルバムを手がけ、オリジナルのAural Exciterを知り尽くしたエンジニア、Val Ga
C6 Multiband Compressor
何年にもわたり、Waves C4は世界中のスタジオエンジニアのお気に入りプラグインでした。今や、ライブサウンドの現場においても必須となっています。
Bass Rider
Bass Riderは、ベースのトラックにインサートするだけでレベルを自動的に調整する、画期的なプラグインです。人気のプラグインVocal Riderと同じく、使い方もシンプルなBass Riderは、コンプレッサーとは違って、ベ
BB Tubes
さまざまなボーカルや楽器の音が、いまだかつて聴いたことのない「スピーカーから飛び出してくる存在感あふれるサウンド」に生まれ変わります。繊細な音から攻撃的なアナログの倍音まで、BB Tubes はあなたのミック
Center
ファイナルミックスやマスタリングに最適なWaves Centerは、サイドコンテンツ(L/R)からファントムセンターコンテンツを分離させる革新的な新プロセッサーです。Centerを使えば、ファントムセンターをゼロにでき、
Clarity Vx DeReverb
AIを使って、どんな部屋でも、どんなボーカルでも使えるようにしましょう。Clarity Vx DeReverbがその作業を代行し、プロフェッショナルなサウンドのボーカルとダイアログのレコーディングを瞬時に、最高の忠実度で
DeEsser
ボーカルトラックから過剰な歯擦音("エス"や"シッ"など)を軽減することに関して、Waves DeEsserに勝るものはありません。ヴィンテージギアから多大な影響を受けた検知と、高域へのリミッティングが特徴のDeEss
Clarix LB
Clarix LB は、放送配信向けの音声に特化したAIノイズリダクションプラグインです。環境雑音をリアルタイムで除去し、屋外ロケやリポーター、ライブ配信など、ライブ音声のトリートメントに最適です。