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更なる革新をもたらす。SSL EV2 Channel

更なる革新をもたらす。SSL EV2 Channel

長年にわたり、WavesのSSL E-ChannelとG-Channelのチャンネルストリップはコンソールエミュレーションのスタンダードとなってきました。そして今、SSL EV2によって更なる革新をもたらしました。

2022.03.03

最初にSSL EV2 Channel(新しいSSL Eシリーズのエミュレーション)の話を聞いたとき、" 何が違うの? 何が変わったの?"というのが私の最初の疑問でした。WavesのオリジナルSSL EシリーズとGシリーズのチャンネルストリッププラグイン(それぞれ2006年と2008年に発表)は業界のスタンダードになっています。

WavesのオリジナルSSL EシリーズとGシリーズのチャンネルストリッププラグインとアップデートされたSSL EV2を比較すると、SSL EV2 Channelはより豊かで詳細な音質と、より高い高域の透明感を備えています。オリジナルのプラグインはSSLをエミュレートしていましたが、SSL EV2 ChannelはSolid State Logicの認証を得ることで本当の意味でSSLとなりました。

sslev2

目次

決定的な違い
なぜチャンネルストリップなのか?
2種類のEQ
ハーモニックディストーション
ダイナミクスとサイドチェイン
記事内で紹介した製品

決定的な違い

さらに、EQの種類も2種類に増え、より精細になりました。また、マイクプリ/ラインセクションが新たに追加され、オリジナルのハーモニックディストーションとサチュレーションの特性を再現しています。

現代では、デジタル録音が主流であり、「メーターが赤くなるまで信号を入力する」ことはタブーです。しかし、SSL EV2 Channelはアナログ機器をエミュレートしています。アナログが主流だった時代には、信号をメーターが赤くなるまで信号を入力することで、機材特有の「個性」を加えることができたからです。SSL EV2 Channelは、そんなアナログらしい機能も踏襲した製品に仕上がっています。

また、600以上のプリセットが搭載されており、グラミー賞受賞者のものが200以上あります。Jacquire King、Stuart White、Joe Barresi、Dave Pensado、Lu Diazなどのエンジニアの考え抜かれたセッティングを使用することができるのです。



なぜチャンネルストリップなのか?

チャンネルストリップの利点はどこにあるのでしょう?同じ機能を個々のプリアンプ、イコライザー、ダイナミクスプラグインで実装することができます。チャンネルストリップを求める理由は、利便性、ワークフロー、そしてサウンドです。

ボーカル、ベース、ドラム、ピアノなど、完璧なチャンネルストリップのセットアップができたら、それを完全なプロセッサーとして保存することができます。次にそのサウンドが欲しくなったら、複数のプラグインではなく1つのプラグインをロードして、レコーディングに戻ればいいのです。ワークフローの大きな改善点は、プラグインのウィンドウをいくつも開いておく必要がないことです。チャンネルストリップを使えば、1つのインターフェイスで編集しながら簡単にパラメータ間を移動できます。

さらに、SSL EV2 Channelは、チャンネルストリップのコンセプトをさらに発展させ、1つのストリップに2つの異なるEQデザインを組み込んでいます。 アラカルトのソフトウェアプラグインを自由に組み立てることができるにもかかわらず、多くのエンジニアがこのチャンネルストリップを好んで使っているのです。



2種類のEQ

搭載されている2種類の違いを周波数特性グラフで可視化してみました。 もちろん、最終的な判断は耳で行うものですが、目は耳を正しい方向へ導くのに役立ちます。
ピンクノイズとスペクトラムアナライザーを使い、その内部で何が起こっているのかを見てみましょう。

下記にスペクトル解析の画像をご用意いたしました。2つの測定データの違いは、EQのTypeがBrownなのか、Blackなのか。その他のパラメータはすべて同じに設定してあります。

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上:Brown EQ。下:Black EQ


インターフェースパネル上での設定は全く同じにしていますが、異なる測定結果が出ています。Brown EQでは3kHzを少し下回っていますが、Black EQの3kHzの設定は少しオーバーしています。ローミッドフィルターの300Hzの設定は、Brown EQでは狙い通りですが、Black EQでは200Hzあたりにきています。

また、Black EQはカットのスロープが急で、中域がより多く残されていることにご注目ください。このことから、Brown EQは穏やかなトーンシェイピングに適しており、Black EQはよりアグレッシブなトーンシェイピングに適していると言えるでしょう。

次に、大きなブーストとカットを組み合わせて比較してみましょう。 2種類のSSL EV2 ChannelのEQにピンクノイズを入力した結果を再び示したものです

ここでも中域の振る舞いの違いが際立っています。このスペクトルから、Black EQがより「アグレッシブ」なサウンドだと言う人がいるのも納得です。

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上:Brown EQ。下:Black EQ



ハーモニックディストーション

マイクプリのハーモニックディストーション機能にも注目しましょう。これは大きな強化であり、私がこれまで聞いた中で最も優れたサチュレーション効果の1つです。 様々なマイクプリのゲイン設定における高調波歪みの測定画像をご用意しました。

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SSL EV2 Channelに-30dBで440Hzの正弦波が入力されています。一番上の図はマイクプリを0に設定したもので、440Hzの信号の基本波だけが見えます。中央の画像はマイクプリを10まで上げたもので、レベルはまだかなり低いですが、第2、第3、第4高調波が現れ始めています。

下はマイクプリを30まで上げたところです。2次、3次、4次高調波がより顕著になり(約-48dB)、さらに多くの高調波が生成されています。2、3、4次高調波の強い存在感が、多くの人がこの歪みを "音楽的" と考える理由です。中央の画像のように微妙な場合もあれば、サウンドを超飽和させたい場合は下の画像よりかなり大きくすることもできます。

聴感上では、音はより大きく、より生き生きとしてくる印象で、歪んでいるようには聞こえません。最も音楽的な結果を生み出すために倍音があるべきところに収まっているのです。



ダイナミクスとサイドチェイン

SSL EV2 Channelにはサイドチェインが搭載されており、ダイナミック性能を倍増させることができることは特筆に値します。サイドチェインとは、ある信号で別の信号のダイナミックレスポンスをコントロールするもので、ハードウェアでは一般的な機能。

幸いなことに、現在ではハードウェアだけでなくソフトウェアでも一般的になっています。ダイナミクスのコントロールには、実用的な用途と創造的な用途の両方があります。例えば、ギターを弾くシンガーソングライターの場合、ボーカルがギターのコンプレッションをコントロールし、シンガーが歌っている間だけコンプレッションが発生するようにすることができます。また、ビデオ用オーディオやポッドキャストでは、ナレーターの声でBGMやサウンドを圧縮し、必要なときに背景に追いやることもよくある使い方です。

サイドチェインには、クリエイティブなオプションもあります。例えば、EDMでよく使われるドラムの「ポンピング」テクニックでは、ドラムのサブミックスにコンプレッサーを挿入し、スネアのトラック(例えば2拍目と4拍目)をサイドチェインに送ります。ドラムに大量のコンプレッションをかけ、比較的短い時間でリリースすることで、スネアのヒットごとにドラムサウンドが一瞬つぶれるようになります。また、パッドにリズミカルな質感を与えることもできます。



最後に

SSL EV2 Channelは、これまでのSSLプラグインと同様に、SSLのサウンド、チャンネルストリップの利便性、そして特定のサウンドキャラクターを持つプロセッサーを目指しています。よりオープンでリッチなサウンド、2種類のEQ、ニュアンス豊かなマイクプリサチュレーション、サイドチェインオプションなど変更点は大きく、目に見える違いもたくさんあります。

ぜひ体験してみてはいかがでしょうか。



 

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