鈴木 "Daichi" 秀行
バンドConeyIslandJellyFishのメンバーとしてデビュー。近年はサウンドプロデューサーとしてバンドからシンガーソングライター、アイドルまで得意な幅広い音楽性を生かし活動する傍ら新たな才能を求め新人発掘、育成などにも力を入れている。
2017.11.09
自身の制作に欠かせない愛用プラグインを選んでいただきました。
H-Delay Hybrid Delay
古き良き、クラシックな音色とキャラクター。Wavesのテクノロジーが実現する機能とフレキシビリティ。Waves Hybrid Lineは、アナログとデジタル、両者のその優れた点を一つのプラグインに結実したラインナップです。
SoundShifter
世界で最先端のピッチ-シフティング、タイム-シフティングプロセッサーを搭載したSoundShifterはキー、テンポ、時幅を調整でき、他に類をみない精密かつ鮮明なタイムピッチ操作を可能にします。SoundShifterさえあ
MV2
MaxxVolumeのエンジンをベースに、二つのパラメーターでハイ/ロー・レベル・コンプレッションをコントロールする、よりシンプルなプラグインです。
Brauer Motion
いくつものグラミー賞を重ねてきたミキシング・エンジニア、マイケル・ブラウアーほど、ミックスにエモーショナルな動きを加えることに長けた人物は多くありません。コールド・プレイ、ジョンメイヤー、ジェイムス・
REDD
ロンドンに所在するアビーロード・スタジオは、1960年代のポップ・カルチャーの新たな潮流、ロック・ミュージックの震源地でした。ビートルズ、ホーリーズ、ピンク・フロイドをはじめ、数々の光輝く先駆者が音楽の歴
もう随分昔のことになりますが、最初に買ったWAVESはNative Power Pack(現 Power Pack)でした。そこからアップグレードや単体での追加などを行なって、今はMercury、AbbeyRoad Collection、SSL4000 Collectionを持っていますので、全てのWAVESプラグインを持っていますね。そもそもサードパーティ製のプラグインが少ない時代から使っていますが、当時から「とりあえずWAVESは持っておけ」のような風潮もありました。
実機が存在するモデリング系のプラグインも好きで使っていますが、WAVESのプラグインを使うときに感じるのは「実機と似ているから使う」という基準ではなく、そのプラグインが持っているキャラクターや出音が好きだから使うといった感覚ですね。ただ単にハードウェアに似ているだけのプラグインなら他にもたくさんあるんじゃないでしょうか。僕はソフトウェアだけでなくハードウェアも大好きですが、ハードウェアだけにこだわっているわけではなく、その音が曲に合うかどうかの方を重要視しています。WAVESのモデリング系製品に関しては「使いやすい音」という印象を持っていて、だから曲に採用するケースも多いですね。日々、何かしらは必ず使っています。WAVESに限らず、僕は「ミックスのため」に限らず「曲作りやアレンジ視点」でプラグインを使用します。今回のセレクトはそういった傾向があるように思いますね。
「通しただけで質感が変わり、イイ感じになる系」のものが好きなのですが、その観点で最近一番気に入っているのが、Abbey Road REDDです。REDDには二つのコンフィギュレーションがありますが、レニー・クラヴィッツが所有していたREDD 17の方をよく使っています。トーンコントロールが独特の利き方で、ドラムのバスなどにこのREDDを使って、Bass Liftのツマミを右にグイッとあげるととてつもない図太くて、(いい意味で)とんでもない音になりますよ(笑)僕はバスにこういったプラグインを使うことが多くて、補正というよりもアレンジの一部として考えているところがあります。なのでこれくらいキャラクターの濃いものは好きですね。そのキャラクターを基にしてプリプロの段階から最終形をイメージしながら制作を進められるという意味合いは大きい。
近年のポップスやロックのアレンジでは、超低域までのレンジ感を求められる事が増えてきました。でもアコースティックドラムを実際にレコーディングしてみても、そういった超低域の部分までがあるわけではない。そんな時にREDDやRenaissance Bassなどを使って補うことで、相対的にミドルの部分にスペースが空き、ここに他の楽器を重ねられるのです。やはり、プラグイン処理もアレンジの一部という感覚です。
最近リリースされたばかりのBrauer Motion、これも使ってみたら面白くて気にいりました。いわゆるオートパン的な使い方をしているのですが、一般的なものとはちょっと違って球状のグラフィックの中で動かしていくのが面白い。ハイハットとかシーケンス系のフレーズもどハマりしましたね。音が密集していたり、音数そのものが多いアレンジの場合には、このようなオートパン系のツールがあると音数を減らすことなくアレンジの中で生かすことができる。エンジニア的な使い方も面白いけど、アレンジ中に偶然オートパンの動き方がハマったりすることもあって、クリエイティブなツールとしてもおすすめですね。
ディレイのH-Delayはかなり高い頻度で使用しています。世の中にはかなりのディレイ製品がありますが、H-Delayの登場機会は多い。H-Delayはやや「デフォルメ」された感じがあるというか、ちょっと汚れる感じがするというか、その質感が好きです。これは僕がミュージシャンだからかもしれないのですね。オケの中でちょっとだけディレイ音が「浮く」んですよ。単なる反復をするだけじゃなくて、音楽的なディレイとでもいうのかな。さらにモジュレーションとフィルターも付いているから、これ1つでやりたいことがほとんどできてしまうのもいい。何だかんだいって色々なプラグインは試すのですが、結局H-Delayに戻ってきちゃいます。存在感のあるディレイです。
意外なセレクトかもしれませんが、SoundShifterもよく使います。素材のピッチやタイムを変更するだけのツールなんですが、グルーヴが崩れたりもしないし、歪みっぽく音が変わったりもしない。動作も軽めで音の変化が他と比べても少ないのがいいですね。ProToolsなら標準のTCEツールをSoundShifterに変更もできますからね。やることが決まっているのであまり語ることはないけど、フェイバリットという意味ではこれは外せません。
MV2はかなり多くの方がお気に入りに挙げているようですが、僕も大好きでよく使います。ボーカルやベースなど、ダイナミックレンジの広い楽器には欠かせないプラグインです。最終のミックス段階でも使うのですが、ラフミックスの時にも使います。オートメーションを書く時間すらないときのレベル合わせに助けられていますね。スライダー1つをぐいっとあげるだけで嫌なコンプ臭のないレベル合わせができるのが素晴らしい。最終ミックスの段階でもうっすらと使うことで、音は自然なまま欲しいレンジに音が収まってくれます。きっとプラグインの中では膨大な処理を一気に行なっているんだろうなと思うのですが、これをわずかなパラメータで使えることが素晴らしい。コンプでもリミッターでも得られないような自然な仕上がりが好きですね。
鈴木 "Daichi" 秀行氏所有のWavesバンドル製品
Mercury
音楽、映像、ライブ、放送、配信、設備、インスタレーション、アーカイブ。かつては分野や過程ごとに専業だったサウンドに関わる多くの作業は、近年ますます複雑にクロスオーバーするようになっています。音楽制作だ
Abbey Road Collection
あまりにも有名なビートルズのアルバムジャケット、その信号の先には、彼らにまつわる幾つもの逸話と、音響実験によって作り上げられた名作アルバムの誕生地があります。音楽に伝説はつきものですか、21世紀の音楽、
SSL 4000 Collection
レコーディングにおいてデシダルが主流となるより前から、一貫した原音忠実なサウンドと、切れ味の良いEQ、そしてダイナミクスプロセッシングも組み込んだアナログコンソールの完全体を追求してきたのは、他ならぬSo
第一線を走るエンジニア、トラックメイカー、プロデューサー、コンポーザーの方々に「マイ・フェイバリット・プラグイン」を挙げていただき、どこに、どんな用途で使うのかを伺いました。
Nakajin(SEKAI NO OWARI)─ L3-16があることでアレンジには間違いがないな、と確信を持てるんです。
永井 はじめ(エンジニア/プロデューサー)─ 僕が手がけた作品のピッチ補正は100%Waves Tuneです。音質も、ピッチトラッキングもNo.1
古賀 健一(エンジニア)─ H-EQが登場したときやっとアナライザーつきのEQがでたと、本当に嬉しくて
保本 真吾(CHRYSANTHEMUM BRIDGE)─ S1 Stereo Imagerはかれこれもう10年以上、嘘偽りなく全セッションで使っています
藤原 暢之(レコーディングエンジニア)─ MV2は欠かせないプラグイン。わずかな調整で狙った通りに音が立ってくれる
佐藤 洋介(サウンドプロデューサー/エンジニア)─ Manny Marroquin Delayを使った瞬間、嘘のように全ての悩みが解決されたほど
鈴木 "Daichi" 秀行(アレンジャー/プロデューサー)─ MV2はコンプでもリミッターでも得られないような自然な仕上がりが好きですね
芦沢 英志(サウンドクリエイター)─ Infected Mushroom Pusherは、とにかくMAGICですよ!MAGICを上げるだけで音像が前にきます
牧野 忠義(株式会社スピンソルファ代表 / 作曲家)─ M360 Surround Managerは、ゲームに実装するサラウンドミックス時に必ず使います
福井 シンリ(作・編曲家)─ S1 Stereo Imagerは下積み時代にお世話になったエンジニアさんが愛用してたのを機に自分も虜に
Gregory Germain(ミキシング/レコーディングエンジニア)─ ヴィンテージのアナログアウトボードと同じような感覚で使える、安心できるツールといえますね。