藤原 暢之
ベイブリッジスタジオ〜キーストーンスタジオなどを経て、 フリーランスのレコーディングエンジニアとして活躍中。 ゆず、米米 CLUB、野宮真貴らのアーティストや、サウンドトラック、 ゲーム音楽など多数のレコーディングを手がける。
2017.06.22
自身の制作に欠かせない愛用プラグインを選んでいただきました。
SSL G-Master Buss Compressor
SSL G-Master Buss Comp SSL 4000 Gコンソールのマスターバス・センター・コンプレッサーをベースに、Solid State Logicとの共同開発により誕生したのがWaves SSL G-Master Buss Compressorです。実機のコンソールで
CLA-76
CLA-76 Blacky / Bluey は、60年代半ばに発売されたクラスAラインレベルリミッターアンプの異なる2つのバージョンにインスパイアされています。"Blacky"と"Bluey"の両バージョンも、オリジナル機と同様にスタジ
SSL EV2 Channel
Solid State Logic社の認定を受け、WAVESは、伝説のコンソールチャンネルストリップ「SSL 4000E」を新たにSSL EV2として再現。オリジナルのSSL 'O2' Brown EQとコンソールの豊かなマイクプリとライン入力を再現する
SSL G-Channel
SSL G-Channelは、SSL 4000 383 G EQをベースとするハイパス/ローパスフィルターおよび4バンド・パラメトリックを備えたEQセクション、そしてダイナミクスセクションで構成される、SSL 4000 Series-Gコンソール搭載
MV2
MaxxVolumeのエンジンをベースに、二つのパラメーターでハイ/ロー・レベル・コンプレッションをコントロールする、よりシンプルなプラグインです。
SSL E-Channel
SSL E-Channel 伝説のエンジニア、ジョージ・マーティンを迎え1983年に開発されたSSL 4000Eコンソールに搭載されたチャンネルストリップを再現。ハイパス/ローパスフィルター、4バンド・パラメトリックEQを備えるEQ
Maserati GRP
Tony Maserati、ACG Acoustic Guitar Designerを語る: 「GRPはグループで使う最終的な仕上げに使えるプラグインです。エフェクト、過度な変化は与えず、ソフトにEQ効果を設定することができます。」
SSL G-Equalizer
SSL G Series EQ292をベースに、その4バンドEQセクションを再現したのが、SSL G-Equalizerです。E-SeriesのEQに比べより大きなゲインの可変幅を持ち、カーブもわずかに変更、プリブースト・ディップ、プリカット・ラ
WAVESはMercuryとSSL4000 Collection、そしてAbbey Road Collectionを持っていますので、ほぼ全てのWAVESプラグインということになるでしょうか。最初に購入したのは当時一番収録数の少ないバンドルで、そこから今に至るまでにアップグレードや単体での購入をしています。
他のインタビューなどでも話したことがありますが、今でもWAVESプラグインは僕の「ファーストチョイス」。ファーストチョイスのまま最後までそのプラグインがトラックダウンまで残ることが多いですね。
僕は世代的に「アナログテープとアナログ卓」で作業をしていた最後の世代くらい。当時はまだ各トラックにアウトボードのEQやコンプを使って処理をするといった文化はなくて、本当に必要なトラックだけに必要な処理をするといった時代でした。のちにレコーダーがデジタルになり、コンソールもコンピュータ内部で行うような ”In the BOX” になったとき、その音質にすごく「残念さ」を感じました。よく言われたように「何かが足りない」と感じたんですね。そういった残念さを埋めるように、WAVESプラグインを使用するようになりました。
WAVESはどのスタジオに行っても用意されていることが多いし、クオリティも気に入っていますが、SSL4000 Collectionが登場したときには驚きを隠せませんでした。テープの時代から慣れ親しんだ使い心地によく似ている。そう思ったのもつかの間、色々なスタジオでWAVES SSL4000 Collectionsが導入されて、どこへ行っても安定と安心を持った作業ができるようになりました。日常の作業のスタートとして、全チャンネルにWAVES SSL4000 Collectionをインサートしてね。各社のプラグインは好きですし、いろいろと試すほうですが、このプラグインは僕のお気に入りの1つですね。
クリス・ロード・アルジ所有機をモデリングした、CLA Classic Compressorが登場したときも同じような驚きがありました。これらのコンプの登場で「ああ、やっとプラグインでも本物のコンプが出てきたな」と感じたほど。聞き馴染んだコンプでしたから、その思いは強かったですね。ネイティブ環境で使ってもレイテンシーが最も少なく、かつ軽いのもいいところ。僕の場合は、通常の処理は上記のSSL4000 CollectionとこのCLA Classic Compressorで対応できます。
ビンテージモデリング系のプラグインというと、「実機と似ているか否か」のような話題になりがちですが、ハードウェアでさえ一台一台違うわけで、似ている・似ていないということにはあまり興味がありません。それよりも「ツマミをグッと回したときの反応」の方がはるかに大事で、WAVESはここが優れていますね。いいオリジナル機を見つけているなと思います。だから「似ているな」じゃなく「あ、僕これ知ってるな」って思わせてくれるんです。他社からも数多くのモデリング系プラグインはリリースされていますが、こういった理由から僕にとってはWAVESがファーストチョイスになるんですね。
MV2も欠かせないプラグインです。音を潰すのではなく、音量の低いところだけが自然に持ち上がってくれるので、音を変化させずにバランスをコントロールできる。これに変わるツールは他にありませんね。コンプのようにキャラクターもつかないし、パラメーターもLo Gainしか使いません。でも、ミックスの上では最大限の効果がある。わずかな調整で狙った通りに音が立ってくれる、素晴らしいプラグイン。
トニー・マセラティのシグネチャープラグイン、Maserati GRPも愛用プラグインの1つです。通常、エンジニアを職業としている人はこういったツールを避けるのかもしれません。僕の場合はたまたま使ってみたときに「この音は自分の中に全くないテイストだ」と感じました。目から鱗の感覚に近く、新鮮に感じました。
ゆず、野宮真貴さんなど、この1年ほどで担当させていただいた作品ではこのMaserati GRPをマスターチャンネルにインサートした状態を「基準」として、ここから各トラックの処理を進めていきました。Maserati GRPの次にRenaissance EQで曲ごとに微調整を加え、その後にSonnoxのInflator、そしてWAVES L3をインサートした状態で出てくる音を「そういうコンソール」と見立てて、そこからミックスに取り掛かりました。明らかにMaserati GRPのキャラクタは付きますが、それを加味した上で音作りをしたという感覚ですね。もちろんMaserati GRPでもパラメータを調整はしていますが、このプラグインで付加されるキャラクターを楽しんでミックスできました。
僕自身がミックスを行うときに基準としているのは「音にパンチがあるかどうか、パンチが必要かどうか」。いくつものパラメーターを動かさないと効果がわからないものよりも、さっと使えて効果の高いので、WAVESは好きですね。
藤原 暢之氏所有のWavesバンドル製品
Mercury
音楽、映像、ライブ、放送、配信、設備、インスタレーション、アーカイブ。かつては分野や過程ごとに専業だったサウンドに関わる多くの作業は、近年ますます複雑にクロスオーバーするようになっています。音楽制作だ
Abbey Road Collection
あまりにも有名なビートルズのアルバムジャケット、その信号の先には、彼らにまつわる幾つもの逸話と、音響実験によって作り上げられた名作アルバムの誕生地があります。音楽に伝説はつきものですか、21世紀の音楽、
SSL 4000 Collection
レコーディングにおいてデシダルが主流となるより前から、一貫した原音忠実なサウンドと、切れ味の良いEQ、そしてダイナミクスプロセッシングも組み込んだアナログコンソールの完全体を追求してきたのは、他ならぬSo
第一線を走るエンジニア、トラックメイカー、プロデューサー、コンポーザーの方々に「マイ・フェイバリット・プラグイン」を挙げていただき、どこに、どんな用途で使うのかを伺いました。
Nakajin(SEKAI NO OWARI)─ L3-16があることでアレンジには間違いがないな、と確信を持てるんです。
永井 はじめ(エンジニア/プロデューサー)─ 僕が手がけた作品のピッチ補正は100%Waves Tuneです。音質も、ピッチトラッキングもNo.1
古賀 健一(エンジニア)─ H-EQが登場したときやっとアナライザーつきのEQがでたと、本当に嬉しくて
保本 真吾(CHRYSANTHEMUM BRIDGE)─ S1 Stereo Imagerはかれこれもう10年以上、嘘偽りなく全セッションで使っています
藤原 暢之(レコーディングエンジニア)─ MV2は欠かせないプラグイン。わずかな調整で狙った通りに音が立ってくれる
佐藤 洋介(サウンドプロデューサー/エンジニア)─ Manny Marroquin Delayを使った瞬間、嘘のように全ての悩みが解決されたほど
鈴木 "Daichi" 秀行(アレンジャー/プロデューサー)─ MV2はコンプでもリミッターでも得られないような自然な仕上がりが好きですね
芦沢 英志(サウンドクリエイター)─ Infected Mushroom Pusherは、とにかくMAGICですよ!MAGICを上げるだけで音像が前にきます
牧野 忠義(株式会社スピンソルファ代表 / 作曲家)─ M360 Surround Managerは、ゲームに実装するサラウンドミックス時に必ず使います
福井 シンリ(作・編曲家)─ S1 Stereo Imagerは下積み時代にお世話になったエンジニアさんが愛用してたのを機に自分も虜に
Gregory Germain(ミキシング/レコーディングエンジニア)─ ヴィンテージのアナログアウトボードと同じような感覚で使える、安心できるツールといえますね。