【導入事例】Garbage(ガービッジ)とFOHエンジニア David GauméがWaves LV1 Classicとともに2026年ヨーロッパツアーを敢行
長年Wavesプロセッシングを中心にライブミックスを構築してきたFOHエンジニア David Gaumé(デイヴィッド・ゴーメ)。そのワークフローをWaves LV1 Classicへ集約し、コンパクトかつ一貫したライブミックス環境を実現。
2026.09.29
2026年、オルタナティブ・ロックを代表するバンド Garbage のヨーロッパツアーで、FOHエンジニアを務める David Gaumé は、Waves eMotion LV1 Classicを中心としたコンパクトなライブシステムを運用しています。
劇場やクラブから、フェスティバル、都市広場、屋外ステージまで、さまざまな環境を巡る今回のツアー。Cardiff CastleやEdinburgh Castle、そしてロンドンの名門Roundhouseなど、多様な会場でのライブを、Gauméは自身のLV1 Classicシステムでミックスしています。
もともとWavesプラグインを中心にライブミックスを構築してきたGauméにとって、LV1 Classicへの移行は、これまで使い慣れてきたツールとワークフローを、コンソールそのものに統合することを意味しました。
「僕にとってLV1は、まさに“遊び場”なんです。それだけですね。」
— David Gaumé
これまでのワークフローを、ひとつのシステムへ
GauméがGarbageのFOHエンジニアを務めるようになったのは2017年。LV1を導入する以前から、スタジオ/ライブを問わずWavesを積極的に使用していました。
「数年前から、ほぼすべてのDSP処理をWavesで行うようになりました。自分が求める条件を満たしてくれるWavesにツールセットを集約することで、複数のサードパーティ製品を追いかける必要がなくなり、ワークフローをシンプルにできたんです。」
— David Gaumé
しかし、Wavesプラグインを外部システムで運用するスタイルが定着するにつれ、コンソール側の役割は次第にシンプルなものになっていきました。
「最終的には、コンソールではフェーダーを動かして、チャンネルをフラットにしているだけ。実際の処理は横に置いた別のスクリーンで行っていました。メインシステムとは別に、そのシステムも維持しなければならなかった。いわば“付属物”のような存在でした。」
— David Gaumé
そんな中でLV1を試したことで、これまで外部システムに構築していたワークフローそのものを、コンソール内に統合できることに気づきます。
「やっていることはまったく同じなのに、それが全部ここ、自分の目の前にあるんです。」
— David Gaumé
従来の環境では、「チャンネルを選択して、プラグインページへ移動して、別の場所に表示されて……その間にまた別の操作をして」というように、処理が複数の場所に分散していました。LV1 Classicでは、使い慣れたWavesのツールが目の前に集約されます。
「使い慣れたツールがすべて目の前にある。LV1の中で動いているこれらのツールを使えば、自分がイメージできるほぼあらゆる方法で音をコントロールできます。」
— David Gaumé
ツアーを支える、コンパクトで再現性の高いシステム
Garbageのツアーにおいて、もうひとつ重要なのがシステムのコンパクトさと再現性です。
「Garbageにとって、コンパクトで、そして毎回同じ状態を再現できることはとても重要です。」
さらにGauméは、システムを小型化することによって、ツアー先での不確定要素を減らせると説明します。
「小さくできて、それを自分で購入して世界中に持っていけるのであれば、現場に着いてから『事前に準備したものが全部ちゃんと用意されているといいな』と心配する場面を大幅に減らせます。」
— David Gaumé
この考え方は、さらにコンパクトなB-Rigにも反映されています。フライデイトなど、機材を極力軽量化する必要がある場合に使用するLV1ベースのモジュラーシステムでありながら、メインシステムと同じミックス環境、DSPパワー、ショーファイルを使用できます。
つまり、異なるシステムへ移行しても、ワークフローもサウンドも変える必要がありません。
厳しい音量制限にも対応
今回のツアーでは、音量制限の厳しい会場も多くありました。
「最近は、多くの会場が都市公園などへ移行していて、どんどん音量制限が厳しくなっています。」
会場によっては93 dBAや100 dBCといった厳しいSPL制限が設定されることも。そこでGauméが活用しているのが、Waves C6とF6です。

C6 Multiband Compressor
何年にもわたり、Waves C4は世界中のスタジオエンジニアのお気に入りプラグインでした。今や、ライブサウンドの現場においても必須となっています。

F6 Floating-Band Dynamic EQ
F6 Floating-Band Dynamic EQは、フル・パラメトリック仕様の6つのフローティング・フィルター・バンドそれぞれにEQ/コンプレッション/エキスパンダーを統合した先進のダイナミックEQコントローラを備え、精密手術の
「いろいろな方法やツールがありますが、C6とF6は、ここで1 dB、あそこで1 dBというようにヘッドルームを取り戻しながら、こうした制限の中でもロックショーらしいサウンドを維持するうえで欠かせません。」
— David Gaumé
単純に全体の音量を下げるのではなく、ダイナミック処理によって必要な帯域をコントロールすることで、限られたヘッドルームの中でもライブらしい迫力を維持しています。
ミックスの中心にあるShirley Mansonのボーカル
Garbageのライブサウンドについて聞かれたGauméは、迷うことなくボーカルを挙げます。
「Shirleyのボーカルがショーのすべてです。すべてを左右する存在ですね。」
そして、良質な音源と優れたマイクテクニックを最大限に活かすことを、ミックスの基本としています。
「素晴らしい音源、彼女の声があります。マイクテクニックも素晴らしい。だから僕にとって最初のルールは、“まず音を壊さないこと”なんです。」
— David Gaumé
そのため、ボーカルを過度にプロセッシングするのではなく、複数の処理を少しずつ積み重ねています。
ボーカル処理の基本チェーン
最初に使用します。音量が大きくなる前の段階で不要な音を整理し、楽曲ごとにスピードやスレッショルドを調整しています。これらの設定変更もLV1のオートメーションに組み込まれています。
主に音の質感を整えます。
4:1のレシオと比較的遅めのレスポンスで、ボーカルをミックスの前面に安定させます。「ボーカルをミックスの一番上に保つという意味では、ここが一番大きな役割を担っていると思います」と彼は語ります。
再びWavesプラグインチェーンへ戻り、約7 kHz付近でディエッシングを行い、CLA-76をパラレル的に使用します。
単純に特定の周波数を削るのではなく、歌い方に応じて必要な部分だけをコントロールします。例えば低域〜中低域では、低い音域で歌うときにはダイナミックに抑え、高い音域へ移ると自然に開くように設定。声の厚みを保ちながら不要な膨らみだけを抑えます。2.5〜3 kHz付近や6 kHz付近のハイシェルフも、必要なときだけダイナミックに動作させています。
「空気感を残しながら、明瞭度を維持すること。」
— F6を使用した処理の目的について
ボーカルの存在感を支える、細かなレイヤー
ボーカルバスでは、微妙なタイミングの分離感を作るためにマイクロディレイを使用。CLA-2Aで軽くダイナミクスを整え、Vitaminで甘さやエア感を加えています。

CLA-2A
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マルチバンド・ハーモニック・エンハンサー Waves Vitaminはマルチバンドのハーモニック・エンハンサー/トーン・シェイピング・プラグインです。トラックのサウンドにパワーを与え、エンハンスされた音とオリジナル
さらにディエッサー、L2によるピーク処理、そしてショー中に素早く調整できるよう最後にF6を配置しています。
Gauméが重視するのは、ひとつのプラグインに大きな仕事をさせるのではなく、複数の処理を細かく積み重ねることです。
「ひとつの処理に大きな仕事をさせるのではなく、それぞれが目的を持って、小さな仕事をしているんです。」
— David Gaumé
さらに、ボーカルにはほぼエア成分に特化したパラレルバスも用意。低域をカットし、強めのリミッティングと高域のブースト、ディエッシングを組み合わせることで、超高域のプレゼンスだけを独立したフェーダーでコントロールできるようにしています。
「ハイの成分をできるだけ残しながら、耳に痛くならないようにする。そのレイヤーが、彼女のボーカルを輝かせるんだと思います。」
— David Gaumé
LV1ならではの柔軟なサイドチェイン・ワークフロー
Gaumé自身も、LV1を使い始めて意外なほど活用するようになった機能があるといいます。それが柔軟なサイドチェイン・ルーティングです。
LV1では、サイドチェインに対応したプラグインのトリガーソースを自由に設定でき、さらにそのルーティング自体を楽曲ごとにオートメーションできます。GauméはeMo D5を使用し、ベースとキックの低域が互いに干渉しないようダイナミックにスペースを作っています。
ある楽曲ではベースがキックのためにスペースを空け、別の楽曲ではその関係を逆転させる、といったアプローチです。
「こうした関係性をオートメーションすることに、僕はかなり積極的です。」
— David Gaumé
Garbageではすべての楽器ソースがダイレクト入力で、マイクを使用していないことも、このアプローチを可能にしています。
「パッチやドラムサウンドは曲ごとに変わりますが、ソース自体は完全に一貫しています。その一貫性があるからこそ、スタジオに近い感覚でミックスに取り組み、細かな部分まで追い込むことができます。」
— David Gaumé
一貫したプラグインセットで音を構築
Gauméは、ほぼすべてのチャンネルで共通したプラグインセットを使用しています。

SSL EV2 Channel
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特にeMo D5はLV1のチャンネルストリップとして、日常的なダイナミクス処理を担っています。ドラムにはJ37 Tapeを使用し、音量を大きく変えることなく、キットをミックスの前後へ動かすような感覚でサチュレーションを加えています。
さらにミックスバスには、外部インサートとしてAPI 2500とKush Clariphonic EQを使用。
これらはショーの間、常に手元で操作できる状態にしています。
毎晩のライブを支える「信頼性」
LV1 Classicへの移行を検討しているエンジニアに対して、Gauméが聞かれることが多い質問があります。それは、「安定しているのか? 本当に信頼できるのか?」というものです。
「もちろんです。これまでまったく問題がありません。完全に信頼できます。それが一番重要なことです。」
— David Gaumé
その安定性によって、会場ごとに発生するシステム上の課題と、FOHで行うミックスを切り離して考えることができます。
今回のツアーで特に難しい会場のひとつとしてGauméが挙げるのが、ロンドンのRoundhouse。円形の構造と床からの強い反射がある、非常に難しい環境です。
それでも、システムチューニングを終えた後は、「昨日と同じショーを、そのまま演奏するだけです。」と語ります。
「昼間はシステムテックとして集中できます。そしてミックスの時間になったら、すべてがここにある。接続して電源を入れ、前日のマルチトラックをバーチャルサウンドチェックで数曲再生する。バンドがステージに上がるころには、FOHの本番サウンドチェックはほとんど形式的なものになっています。」
— David Gaumé
システムとミックスがすでに整った状態からスタートできるため、会場が変わっても一貫した結果を得ることができます。
「非常に再現性の高いワークフローで、安定して予測可能な結果を得られます。」
「LV1は、終わりのない遊び場」
長期間にわたるツアーでは、同じ環境でミックスを続けることになります。しかしGauméにとって、LV1にはまだまだ試すことが残されています。
「プロセッシングに関して完全にオープンな遊び場です。音に対して何をしてもいい。
— David Gaumé
長いツアーでは、退屈することもあります。そんなときでも、ここには触ってみたいものがいくらでもある。遊び尽くすことがないんです……まるでキャンディショップですね。」
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